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アイレム・フォーラム

HAPPENINGText: Ammon Haggerty

1981年の春に、トゥルーディ・ミルラは関心のあるアーティストたちを集めイベントを開いた。彼女はこのイベントを「アイレム(Ylem)」と呼んだ。“アイレム” は “宇宙を形作る物質” という意味のギリシア語である。ミルラは強く科学の影響を受けており、とりわけシリコンバレーにおけるコンピューター産業という新しいメディアに興味を持ち、次第に強く影響されるようになった。

25年以上経つこの今もなお、アイレムは人々を集め、科学、テクノロジーと芸術のミクスチャーについて語りつづけている。アイレムは、それぞれの分野の未だ道筋の確立されていない、いわば未踏の領域を探検するアーティストたちに場を提供して続けているのだ。


Alex and Martha Nicoloff’s solar spectral video art

1月のアイレム・フォーラムは、サンフランシスコのRXギャラリーで開かれた。アレックスとマーサ・ニコロフは、DVDで彼らの最新作を発表した。様々な角度や距離から恍惚するような小さな彫刻を撮影した。その彫刻は、ニコロフ・バークレーの家の暗い地下室で横たわっていて、彼らは庭から太陽光を装置で収集し、そしてその集められた日光を長さ60フィートの廊下を通りぬけ、地下室へと向けられた。光源の位置は非常に慎重に配置されていて、ゆっくり動かせるターンテーブルには特製の分光器(プリズム)がおかれていた。アレックスとマーサは、時に色や形を加減する制作をこころがけながら、数々のテクニックを駆使してその放たれた光を記録する。


Alex Nicoloff presenting at the January forum

『我々は、太陽のスペクトルの中で揺れ動くビデオイメージを見つけ、追い掛け、そして捕える。翼を上で多くのものと出会う間に、カオスの縁でランダムに始まるその瞬間がやがて動的なエピファニー(直感的で純粋な美)』アレックスとニコロフはこう語った。構成要素(メカニズムとキャプチャー)が全てアナログがゆえに、その柄と色には既存的な感覚があり、スコット・ドレーブスの「電気羊」におおよそ似ていた。


Akio Hizume – Star Cage

来る3月のフォーラムに、大規模な “数学的な物” をつくり、フィボナッチ数列のような大数学理論に基づいたミニマルミュージックを演奏する建築家・アーティスト・音楽家である日詰明男が出演することになった。他の偉大なミニマリストの様に、日詰氏の仕事は単純に見えて、実に複雑なものだ。たとえば、毎分400拍子もある彼の多重リズム的構成の「Real Kecak System」は、522,629,966,200,000,000年に一度も繰り返さないのだ!

フォーラム情報や、アイレムのバックナンバーは、ウェブサイトで読むことができる。次のフォーラムは、サンフランシスコで3月に開催される予定だ。

YLEM Forum: Multimedia Fandago
日時:2006年1月18日 19:30〜
会場:RX Gallery and Bar
住所:132 Eddy St., San Francisco, CA 94102
TEL:+1 650 856 9593
http://www.ylem.org

Text: Ammon Haggerty
Translation: Rin Okada
Photos: Courtesy of Ylem Forum © the artists

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葛西由香
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