リアル・ワールド・ウェブ展
インターネット上にあるウェブを現実の世界で表現するとどうなるだろう?
どこまでも無限に拡がっているかのように思えるWWWを現実空間に配置するという異色のインスタレーション「Real World Web」が、ソニーコンピューターサイエンス研究所によって行なわれた。
ソニーのオフィシャルサイト「Sony Drive」が分解され、ディレクトリ構成、ヒット数、データサイズ、リンクなどにそって決められた空間座標をもとにオブジェクトを配置。ページに見たてられた透明のアクリルプレートがそれぞれ意味を持たせたカラフルな糸で数珠繋ぎになっている。
実際に自分の体でインスタレーション内に入り込み、順を追ってブラウズしていく。一つ一つのプレートに詰め込まれた情報量、延々とつながっていくページたち、空間に浮かび上がりギャラリーいっぱいに拡がったリアルウェブは、まるで毛細血管で繋がる人体。ウェブデザインやディレクトリ構造を知っている者でも、現実にその姿を見せられると驚いてしまったに違いない。
『全てがデジタル化しつつある今、サイバースペースを現実世界に引き戻して、いったいどうなっているのかを、われわれの体と生の感覚で体験・知覚してみることも無意味ではないでしょう』という北野宏明(ソニーコンピューターサイエンス研究所)のコメント通り、リアルに体験することで、それまでと違う新しい認識が生まれ、新しい創造性が生まれる事も良くある。
次々にリンクしていく事で情報や、人や物を繋げていくというウェブの存在を改めて確認できた展示だったと思う。インスタレーション製作にはソニー他、建築家やデザイナーが参加し、プロジェクトとして今後も発展させていくそう。
Real World Web
会期:1997年12月12日(金)〜19日(金)
会場:アクシスギャラリー
主催:project K
企画構成:ARSeed Inc.
https://www.csl.sony.co.jp
Text: Atsuko Kobayashi