SRL L.A. ショー 2006

HAPPENING

“地球上で最も危険なショーを製作する”といわれる「SRL(サバイバル・リサーチ・ラボラトリー)」。オフィシャルウェブサイトで彼らの考えが全て述べられている。単にイベントの写真をみるだけで、彼らが造り出す印象的な戦争の脚本をみているかのように、ある当惑の念を感じはじめるだろう


SRLは既に50回ものショーを行ってきた。その殆どはアメリカであるが、ヨーロッパや日本 (1997年、1999年東京)でも行われている。
2002年7月、ロサンゼルスのダウンタウンでの小さなショーのあと、ロサンゼルスのチャイナタウンでもっとも異常な光景の目撃者になるであろうステージへと彼らは取り掛かった。これは間違いなく本当の戦争に限りなく近い体験だったと思う。

彼らのショーの告知を街や雑誌で見たことは未だかつてない。私は前もって今回のショーが行われることをSRLの住所録に記名していた知人を通して知ることができた。

とある夜、チャイナタウンにある「フリンジ・ギャラリー」で展覧会が行われた。様々な写真や彫刻、以前のショーからの幾つかの装置のとなりに、彼らSRLのドキュメント映像のスクリーンを用いたそれらは、マーク・ポーラインによって撮影されたものだ。1978年彼は様々な戦闘装置やロボットの相互作用を創造するための技術、道具また工業装置組み合わせ利用する新しい方法を見つけ出すことを目的とした独創性のある専門化たちの団体を創立した。

故郷、サンフランシスコで幾度かSRLはかつてよく警察沙汰を起こし、地元紙には「地元のゲリラ・チーム、、、観客や一団への危険を伴う疑いのある中、公の場での手荒な遠隔装置の爆破を扱う」とまで記されたことがある。(サンフランシス、コクロニクル誌1992年4月9日)

SRLのユニークなコンセプトへの初めての遭遇となったのは、ポーラインによる『誰もが信頼されるべきではないし、更には彼はSRLが行っていることを信頼してほしいとも思っていない』という意見が述べられ、私は始め一連のイベントをみた時、少し衝撃を覚えた。その発言は私を実に考えさせたが、その後ショーを見ているうちに彼の言った意味を理解するのにそう時間はかからなかった。

SRLの装置やロボットが主役となるパフォーマンスは駐車場のすぐそばで行われた。ポーラインの天分思考から生み出された発明品に囲まれ、大きなワニのような頭を持ち二本のぶら下がった前足を持つ“ゴジラ”がステージの真ん中に置かれた。そこには装置から観客を保護するための、うすっぺらい木製のフェンスしかなかった。私たちは周りを見渡しているうちに建物のバルコニーのそばに立ちショーを観ようとしている人がいることに気がついたので、ショーが始まる寸前に私たちも裏の小道に紛れ込み完璧な観覧位置へといこうとした。

「釣り少年の夢」とショーの題名は言われていたが、操り人形の少年が続けざまに激しい頭痛をもちながら、夢というよりは悪夢を見ているように思えた。操り人形はワニの人形の左前足の下の机に座り込み、とがった釣竿が操り人形の頭と背中を突き刺し、椅子からも飛び出していた。その合間にグループの一人がまるで装置とロボットが戦っているかのように演出するために、ラジオコントローラーをもち走り回り、火炎を投げる人はフォークリフトに乗り込み、ワニに松明(たいまつ)をつけた。

ロボット同士のみの戦いはなかったが、それらは薄い木製のフェンスに向かってドンドンとぶつかり、観客者を後ろに追い込み、印象深い記憶を残したのだった。ショーは「ランニング・マシーン」や「スニーキー・ソルジャー」の改良版の等身大に近い軍隊革命であるといったような様々なロボットによって飾られた。(詳細は、SRLウェブサイトで見る事ができる。)

全ての装置の中でもっとも注目できるものは「ホーバークラフト」とよばれ、辺りを走り回り巡航ミサイルが爆発する寸前の音量よりも大きい150dBという異常な音を発するものかもしれない。

それは終始壮大なパフォーマンスであり、SRLが表現している社会政治的な風刺の特殊効果は、おそらく見渡すだけで簡単に理解できると思う。やはりまた、ポールラインの言葉が私の脳裏を過った「、、、私たちを信頼してもらおうなんて思っていない、、、」そして突然また爆発が起こり、多数の小さく白い人型の操り人形が空中に投げ付けられ、辺りを覆った。

グループのメンバーの一人は、私たちがバルコニーに立っているのを見つけるなり、その操り人形をこちらに向かって投げ始めた。そのうちの一つが私の胸に当たり、人形が付け込まれていた液体である黒く湿った染みが服に残った。炎と騒音が消えた後、私の中に何かおかしな幸福の念が沸き起こったのだ。装置との戦争から生き残ったという安堵感、そして友達のために人型の白く小さな操り人形を持ち帰ることにした。人形からついた服に残る黒く汚い染みを洗ったあと、私の小さな純潔の白い人形をみることに満足感を憶えた。

SRL at Fringe Exhibition
会期:2006年1月21日〜2月25日
会場:Fringe Exhibitions
住所:504 Chung King Court, Los Angeles, CA 90012
http://www.srl.org

Text and Photos: Christopher Lenz
Translation: Yukino Kotake

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