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SRL(サバイバル・リサーチ・ラボラトリー)「釣り少年の夢」

HAPPENINGText: Christopher Lenz

SRLの装置やロボットが主役となるパフォーマンスは駐車場のすぐそばで行われた。ポーラインの天分思考から生み出された発明品に囲まれ、大きなワニのような頭を持ち二本のぶら下がった前足を持つ “ゴジラ” がステージの真ん中に置かれた。そこには装置から観客を保護するための、うすっぺらい木製のフェンスしかなかった。私たちは周りを見渡しているうちに建物のバルコニーのそばに立ちショーを観ようとしている人がいることに気がついたので、ショーが始まる寸前に私たちも裏の小道に紛れ込み完璧な観覧位置へといこうとした。

「釣り少年の夢」とショーの題名は言われていたが、操り人形の少年が続けざまに激しい頭痛をもちながら、夢というよりは悪夢を見ているように思えた。操り人形はワニの人形の左前足の下の机に座り込み、とがった釣竿が操り人形の頭と背中を突き刺し、椅子からも飛び出していた。その合間にグループの一人がまるで装置とロボットが戦っているかのように演出するために、ラジオコントローラーをもち走り回り、火炎を投げる人はフォークリフトに乗り込み、“ワニ” に松明(たいまつ)をつけた。

ロボット同士のみの戦いはなかったが、それらは薄い木製のフェンスに向かってドンドンとぶつかり、観客者を後ろに追い込み、印象深い記憶を残したのだった。ショーは「ランニング・マシーン」や「スニーキー・ソルジャー」の改良版の等身大に近い軍隊革命であるといったような様々なロボットによって飾られた。(詳細は、SRLウェブサイトで見る事ができる。)

全ての装置の中でもっとも注目できるものは「ホーバークラフト」とよばれ、辺りを走り回り巡航ミサイルが爆発する寸前の音量よりも大きい150dBという異常な音を発するものかもしれない。

それは終始壮大なパフォーマンスであり、SRLが表現している社会政治的な風刺の特殊効果は、おそらく見渡すだけで簡単に理解できると思う。やはりまた、ポールラインの言葉が私の脳裏を過った「…私たちを信頼してもらおうなんて思っていない…」そして突然また爆発が起こり、多数の小さく白い人型の操り人形が空中に投げ付けられ、辺りを覆った。

グループのメンバーの一人は、私たちがバルコニーに立っているのを見つけるなり、その操り人形をこちらに向かって投げ始めた。そのうちの一つが私の胸に当たり、人形が付け込まれていた液体である黒く湿った染みが服に残った。炎と騒音が消えた後、私の中に何かおかしな幸福の念が沸き起こったのだ。装置との戦争から生き残ったという安堵感、そして友達のために人型の白く小さな操り人形を持ち帰ることにした。人形からついた服に残る黒く汚い染みを洗ったあと、私の小さな純潔の白い人形をみることに満足感を憶えた。

SRL “The Fish Boy’s Dream”
会期:2006年1月21日(土)〜2月25日(土)
会場:Fringe Exhibitions
住所:504 Chung King Court, Los Angeles, CA 90012
https://www.srl.org

Text: Christopher Lenz
Translation: Yukino Kotake
Photos: Christopher Lenz

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