スコット・ドレーブス「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」

HAPPENINGText: Ammon Haggerty

フィリップ・K・ディックの代表作ともいえる1968年の本は、これと同じタイトルだ。後にこの本は、SF小説の「ブレードランナー」の元となる。コンピューターが意思を持つように進化していくというコンセプトは普通に考えて不可解だ。しかし、そのコンセプトは、空想やインスピレーションの源となっている。

夢見るコンピューターの概念は、コンピュータープログラマーのスコット・ドレーブスのこと指す画期的な隠喩表現。彼は、有機体の生きているようなアニメーションを作り、その後間もなく、大きなコンピュータープロジェクトである「電気羊」をつくりだした。

複雑なアニメーションを表現するのは時間がかかる。彼はすぐに、そのことに飽き飽きした。性能の良いコンピューターを探す代わりに、彼は世界中の眠っているコンピューターを使って、作品表現をすることにした。「SETI@home」など、拡散しているプロジェクトのモデルを使い、彼は誰でも利用できる独自のスクリーンセーバーを作った。CPUサイクルと交換する際に、その電気羊プロジェクトは、スクリーンセーバーとして表示するための “羊” をホストコンピューターに送る。

この電気羊プロジェクトは常にアンドロイドに向けて言葉を発している。スクリーンサーバーを利用するユーザーは、好きな羊を選び、進化させることができる。このように、変化するコードの指示により、システムは成り立っている。事実、スポットは彼の羊の進化に関して、生物学の専門となんら代わりのない、完璧といえる生物分類をしているのだ。


Family tree of mutating sheep.

スポットの最近プロジェクトは、より細かく精密なHDレゾリューション にて、羊を表現するというもの。また、全て良い環境で羊を見る事ができるネット利用者を増加させている。

この記事を書いている現在、スポットは彼の技術について語り、最新の羊を披露しながらVJとしていくつかのイベントに参加するため、日本をツアー中だ。現在はサンフランシスコ在住で、地元のアンダーグラウンドのイベントで、会うことができるかもしれない。

Text: Ammon Haggerty
Translation: Yu Murooka

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