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横浜トリエンナーレ 2005

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

二つの倉庫に続く中庭にももちろん作品があり、またコンテナで結ばれた通路なども設置されている。そこでなにやら不思議に存在感を放つ無数の電話ボックスは岩井茂昭による「ミリオン・ママ」。電話ボックスに入ると呼び出し音が鳴り、受話器を取ると自分の子供に受話器越しに向けられた母によるメッセージが流れる。笑いあり感動ありのメッセージの内容は、当たり前のことだけど普段忘れがちなことを思い出させるハートフルな作品。


Shigeaki Iwai, Million Mama

ここまで、数人の作品をピックアップしたが、キュレーターマンによる「Super (M)Art」など刺激的作品がメイン会場のみならず、横浜の街の至る所に展示されている。会期も9月28日から12月18日までと長いものとなっており作品の特性上、会期中も常に変化し続けるものもあるので、興味は尽きない。会場に行くことが可能は方はぜひ足を運んで体感することをお勧めする。


Curator Man, Super (M)art

全体を通じて、日本のアーティストが多いのは当然だが、特にアジアのアーティストの参加が目立った。現在のアジアが持つ可能性や活力がこのトリエンナーレにも影響しているのだろう。そして、アーティストのホームステイ、参加型の作品制作や公開制作など観客や市民とのコミュニケーションや以前、誌面でも触れたがバンカートのような行政も関連したアープロジェクトなどを常に行っている事からも、一過性のフェスティバル的な要素としてのアートではなく、人や街や環境としてのアート、美術という可能性を追求し、国際的な文化を発信し生みだすという、横浜という都市の明確な意思が強烈に伝わってきた。がしかし、一方ではこのビエンナーレでしか成し得ない表現というものが何なのかはこの会期が終わった後に浮かび上がるであろうことは、依然として未完成な模様を呈する、このトリエンナーレの状況からもうかがい知ることができるだろう。

横浜トリエンナーレ 2005
会期:2005年9月28日〜12月18日
会場:横浜市山下ふ頭3号、4号屋上ほか
主催:国際交流基金、横浜市、NHK、朝日新聞、横浜トリエンナーレ組織委員会
TEL:03-5777-8600(横浜トリエンナーレ事務局)
http://www.yokohama2005.jp

Text: Yasuharu Motomiya
Photos: Yasuharu Motomiya

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