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第3回 エロティック・アート展

HAPPENINGText: Mark Buswell

“エロティック”という言葉にはパワーがある。この言葉はセックス、色情、美、タブー、欲望、モラル、危険、など様々なミックスした意味を思い起こさせる。“素晴らしい” と “下品” の瀬戸際でもあり、他の何ものにも変えられない感情を伴う。“エロティック” に対して抱く感情はそれぞれにしろ、皆それを知っていて、見ていて、刺激されているということは、共通であろう。インスピレーションや解釈への可能性を大きく秘め、アートショーにとっては完璧な主題である。

6月9日の夕方、サンフランシスコのテンダーロイン(この街の歓楽街)にあるシューティング・ギャラリーで、毎年行われる3度目のエロティック・ショーのオープニング・レセプションが開かれた。僕達がそこに着いた頃、外には参加者の群れが歩道まで溢れていた。中に入ると、人々はドリンクを啜りながら、50人以上ものアーティストによる刺激的な作品を見つめていた。そのほとんどの作品が、このショーのために特別に作られたものである。

僕自身はこれまで、“エロティック・アート” に関わった経験はない。“エロティック” のイメージは好きだし、“アート” も好きだが、その2つはどうも僕が描く美的感覚に噛み合わない。僕が関わってきた80年代の良くない美的感覚のせいかもしれないし、ただ僕がそれに合ういいアーティストに触れてこなかったせいかもしれない。もちろん、僕はアート批評家ではなく、この主題に対して新鮮なものをみたいと思う展覧会の参加者の一員である。

中のギャラリースペースは満員の参加者で、作品鑑賞は人込みで身をかわすゲームになった。そのため様々な角度から作品を見るのは難しい時もあったが、僕は見たものに強い印象を与えられた。特に一人のアーティストの作品で、チェリーとバナナで仕上げられた等身大のアニメの女性だ。ピンクのジャンプスーツを着ており、このコレクションの中心作品のようだった。

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