カッチャ・ボンファント

PEOPLEText: Yurie Hatano

今回のカバーデザインを手掛けたのは、フランス・ピレネー出身のカッチャ・ボンファント。キュートなのにどこか力強いものを感じさせ、風変わりなものを探究する彼女は、音楽、アニメーション、映像と、精力的に活動をしているアーティストだ。


Making of for Sketch

まずはじめに、自己紹介をお願いします。

フランスのグラフィック・デザイナーで、30歳。ボーイフレンドがドイツ人なので、ドイツの山に住んでいます。南フランスのピレネーから移って来ました。山や大自然が大好きで、多くのアイディアをそこから得ています。パリのエコール・エスティエンヌでグラフィックデザインを学び、1995年に卒業、また同じくパリのエコール・デ・ボザール(パリ国立高等美術学校)では、1998年までアートを学んでいました。グラフィックの仕事や、ロゴ作成、プリント、ポスターが向いていると思っています。アートを学び、サウンドやビデオメイキング、ウェブにも携わってきたあとに、グラフィックの仕事に戻ったと言う経緯です。グラフィックの仕事では、これまでの経験全てを活用できます。つまり、音やアニメーションを加えたり、様々なことから小さなストーリーを作り上げたりすることができるということです。また、私がフラッシュを好きな理由は時間軸にあります。グラフィックデザインの中の時間軸、ビデオやサウンドの時間軸、さらにその中にも沢山の時間軸を作れますよね。それぞれのクリップの中にもまた別のクリップがあり、まるでそれは “マトリョーシカ” のようです。また、パレ・ド・トーキョーの教育機関でも働いていたことがあり、その経験が、サウンド、ウェブ、ビデオなどの分野で役立っています。


The animation “fresh”

最近の活動について教えてください。

ウェブデザイナーとしての活動が表に出ている仕事ですが、アーティストとして、自分の音楽のためのビデオクリップを作ったりもしています。私はプログラミングやウェブマスターとしての仕事は得意ではありません。というのは、そこまでウェブに対して新しくてハイテクな事を求めないということです。ただ、自分のやり方でこなしていくことが好きなのです。プログラミングというよりも、ビジュアルの部分に興味があります。

今はちょうど、新しいサイト「ParisHotels.com」を制作中で、面白いものになると確信しています。彼らからは、サイトを180度変えて欲しいとの依頼を受けました。パリのアイディアを用いた作業はとても楽しいです。パリジャンのシンボル(エッフェル塔やツール・ド・フランスなど)を隠れたアニメーションとして沢山作っているので、見つけてみてください。パリのホテルを探してこのページにたどり着く人が多いと思うので、サプライズ!という感覚。あと1ヶ月ほどで完成します。


Palais de Tokyo

他に、今まで手掛けてきたサイトはどのようなものがありますか?

パレ・ド・トーキョー
これは私にとって初めての大きなサイト。とくに記述することはないのですが、グレーとホワイトのボックスを動かすローテクなものにしました。このサイトはまもなく変更になる予定。誰が新しいのをつくるのかはわかりませんが…

バレンス・ファイン・アート・スクール
このスクールのディレクターは、ナビゲーションを使わないものを求めていました。つまり、なんだか風変わりな掲載方法とミックスで、迷子になってしまうようなサイトです。これはどんなアートスクールにも見られるものです。生徒達と教師のミックスとかね。ナンセンスなサイトを作るのはすごく楽しかったですよ!これは多くのグラフィックデザイナーにとっての夢でもあるかもしれない!全てのスクエアが新しいものを「サプライズ」と共に開きます。(その中のいくつかの「サプライズ」は、ワークショップで生徒達と一緒に作ったりしました。)沢山のものを開きすぎたら「クリア」ボタンを押し、始めにもどるという仕組みです。また、いくつ開いたかを教えてくれる機能もあります。

スケッチ・ロンドン
ご存じかもしれませんが「スケッチ」は、ロンドンにあるカフェやレストラン、ギャラリーなどが一体となった、とてもユニークで美しい場所。私はこの「スケッチ・ウェブ」を、実際の場所を説明するだけのウェブではなく、もっと虚像的なスペースにしたいと思いました。実際の「スケッチ」を反映させながらも、独自の空間として作りたかったのです。「スケッチ」の5つのメインルームに、5つのキャラクターを作り、それぞれのキャラクターが案内をするという仕組みにしました。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE