ジェレミー・フィッシュ

PEOPLE


ほんの数年前のこと、「シンク・スケートボード」のアートデパートメントにて、ジェレミー・フィッシュと会った事を思い出す。彼はそのデパートメントでグラフィック・デザインをしていて、僕は必至でフリーランスのデザイナーとして、今はもう存在しないスケートボードの会社(シンクの製産業に協力していた会社)から依頼を受けていた。ボードの車輪にプリントを施すという慣れない作業で、僕はジェレミーに何度も質問し続けたものだった。まだ机の上やパソコンや壁には、明らかに片付いていない作品が残っているにも関わらず、彼は進んで助けてくれたのだった。

それ以来、ジェレミーは、独特のスタイルと謙虚な態度で、作品をそのオフィス内だけには留めず、ギャラリーの壁、ナイキシューズのデザイン(2006年に発売)、そして最近は彼の初となる本のリリースにと、活動の幅を拡げてきている。5月20日の金曜日、この街の華やかなミッション地区にあるロー・ギャラリーにて、ジェレミー・フィッシュの新しい本「I’m With Stupid」のリリースパーティを兼ねた、アート・ショーが行われた。

ロー・ギャラリーはオープンの時間を“パーティータイム”にはせず、3時過ぎという早い時間に決めた。それは、鳥が歌い、太陽が輝き、道ばたで行われるバーベキューも良く焼ける、素晴らしい金曜の午後だった。ジェレミーと、オーナーでありキュレーターであるジョンは、リブやバーガーやビールに金をつぎ込み、おもてなしのご馳走が全て揃う。中のギャラリーは、壁や天井が白く染まり、壁にはジェレミーの作品が吊るされていた。展示されたのは、彼の最近の作品、ペインティングとスケートボード、スクリーンプリントのポスター(額付きで50ドル)、おもちゃ、それにもちろん、彼の新しい本だ。

ジェレミーの作品はこれまで、キュート、無気味、暗い、面白い、誠実、子供っぽい、暖かい、などと評価され続けてきた。それらは全て正解だと言えよう。彼の作品には、アニマルと人間とモンスターが合わさったような、境界をあらゆる手立てで越えてしまう、我々が住む超現実主義の世界が現れている。この世界の中では、魚はビールを飲んで育ち、木々は襟付きのシャツから現れる。スケートボードになった猫に乗ったり、サンダルになった亀を履いたって、誰にも迷惑をかけない。彼はこんな風に、全く関係のないものを「ジェレミー・フィッシュ」という物語りの中で、混合させてしまう能力がある。それが例え不気味だとしても、彼の作品は我々を笑わせてくれるのだ。

ジェレミーの作品のコンテンツがインスピレーションに溢れているとして、彼の技術もまた申し分なく完璧だ。彼が作り出すものだけではなく、純粋に審美的で物質的なオブジェクトにまでも、とてもたくさんのアイディアを盛り込む。全てのラインは引き締まっていて、全ての筆遣いは計算されていて、全ての上等な壁掛け作品は慎重にセレクトされたものである。つまり彼の作品は固い!保守的な意味での“固い”ではなく、キックしてきた奴らをカラーの組み紐で“固く”ロックするという意味での“固い”だ。

日中ギャラリーでは、ジェレミーは角にあった椅子に座って、謙虚にそのほとんどの時間を過ごしていた。不幸にも最近彼は、「シリー・ピンク・バーニー」として知られる彼の仲間達とのニューヨーク旅行で、スケートをしていた際に足首を痛めたのだが、保険に入っていなかった。そのため、今回はリリースパーティとアートショーであると同時に、ジェレミーの医療費集めともなったわけだ。

もしジェレミー作品に興味があれば、この本を買う事をお勧めする。たったの20ドルで、フルカラー+メタリックが完璧に結びついた文献作品に、本物のナイスガイによるアート作品が見られる。詳細や購入は「Fecal Face Dot Com」で。

また、この近くに住んでいるならば、是非ロー・ギャラリーに立ち寄って欲しい。ジョンが喜んで案内してくれるだろう。

I’m With Stupid: The Artwork of Jeremy Fish
One night book release party and art show

日時:2005年5月20日
会場:Low Gallery
住所:487 14th Street, San Francisco, CA 94103
http://www.lowgallery.com

Text and Photos: Mark Buswell from SisuHome
Translation: Yurie Hatano

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