メイド・イン・ブリティン

HAPPENING


私はロンドン生まれで、今は国外に住んでいる。今回は現在オランダで催されている二つの展覧会の紹介をしたいと思う。一つ目は、二度に渡り、ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞したフセイン・チャラヤンの功績を称えるもの。二つ目は英国の現代写真家12人の作品を展示する「メイド・イン・ブリティン」というものである。

私は、他国の人達が英国や英国人気質というものを説明することは、到底不可能であると思い続けてきた。幼い頃、夏をワルシャワで過ごした後に英国に戻ってくるという生活をしていた(私にはポーランドの血が半分流れている)。そして、私の故国をヨーロッパ圏内の他の国とは異なったものにしている要因は何なのだろうか、と思い悩んだものである。その結果はと言うと、それは道路標識であり、あらゆる湿気であり(どういうわけかこの湿気というものは色彩を豊かにする)、ロンドンなまりであり(とにかく好きなのである)、異なる文化の混合であり、お年寄りの方々(他の国のお年寄りとは常に違う感じがする)である。おそらくこれら二つの展覧会は、あなた達が英国に対して抱く印象を決定づけるための一助となるだろう。

アムステルダムからフローニンゲンまでは、ちょっとした小旅行になるだろうが、見に行く価値は充分にある。特に、名声の高いフローニンゲン美術館を訪れる場合は。この博物館で催されるフセイン・チャラヤンの初期10年の作品の回顧展は、偶然にも彼の初個展でもあり、英国人やキプリス人のファッションデザイナーのファッション、アート間の興味深い異種間交流に焦点を合わせている。私は、その種のクロスオーバーをもっともらしく表現できているデザイナーはあまり多くないと思っているが、チャラヤンは多文化の人生背景を生かし、建築、哲学、人類学のような広い教養を駆使して、そのようなクロスオーバーを表現し続けてきた。その結実が彼の素晴らしい作品であり、それはしばしば衣装一式であったり、インスタレーションであったり、写真や映像作品の形をとるのである。

彼は1993年にセントラルセントマーティンズ大学を卒業し、異端の技術で作ったその革新的で普通は見られない布地を作った。 そして2004年4月には、とうとう彼自身のフラッグシップストアを東京にオープンさせ、世界中から喝采を浴びた。彼の名はますます知れ渡った。今回の展示会は9月4日までの開催である。というわけで、みなさんの、見ていない、なんて言い訳は通用しない。会期中に是非見てほしい。

私が2番目にチョイスしたのはより故国に近いものである。それはアムステルダム、カイゼルグラハトのハイス・マーセリスで開催される「メイド・イン・ブリティン」。この展覧会は、HUGギャラリーのアディー・ヴァシーとのコラボレーションであり、英国の12人の写真家の近年の作品が展示される。彼らのほとんどはオランダでの展示会は初めてだ。これはすでに名の売れている写真家や、今後そうなるであろう写真家達による興味深い連携(英国の現代写真のカギと見なされる)である。

私は、特にアントニ&アリソン、クレイグ・アーメス、チノ・オーツカ、マシュー・ムレイ、ミケーレ・シャンク、そしてさらにとりわけ、エライン・コンスタンチンの作品に目を奪われた。これらの写真家達の多くは伝統に従い、あのマーティン・パーの観察的なスタイルに沿ってやってきた。日常生活の中にあるユーモアを捉えることの出来る特別な才能をもったマシュー・ムレイは、特にその傾向が強い。アントニとアリソンの作品は、彼らが有名になったファッションと同じくらい図形的であり、写真の中に彼らの成長を見るのは興味深いことである。クレイグ・アーメスのスカディー(英国軍)の生活環の観察は、その世界の住民で、それを完全に理解するものによって捉えられる。私はスカディーがどうして彼らのスニーカーをそんなにきれいに保っていられるのかを問わずにはいられない・・・。チノ・オーツカの写真は巧妙な美しさを誇る。それは映画的視点で捉えられ、子供の頃に英国に渡った際のカルチャーショックに対する深い感動を含んでいる。

ミケーレ・シャンクの作品は、思春期の不器用さを表現し、信じがたいほどの硬直性をはらんでいる。彼女の写真に表されている静けさに感心しないのは難しいことである。最後にエライン・コンスタンチン。私は彼女の作品の中で、素晴らしく陽気な「ガールズ・オン・バイク」(1997) が好きである。「フェイス」や「i-D」のような雑誌に載っている彼女のファッション写真は、英国のフォトドキュメンタリーの偉大なる伝統を継承し、 1990年代の若者世代の姿を捉えている。エラインの最近のプロジェクトの「ティー・ダンス」で、しっかりと興味深い方向へと進化を遂げた。強くお勧めしたい。メイド・イン・ブリティンは、5月29日まで。

フセイン・チャラヤン展
会期:2005年9月4日まで
時間:10:00〜17:00(月曜休)
会場:フローニンゲン博物館
住所:Museumeiland 1, 9711 ME Groningen
http://www.groninger-museum.nl

メイド・イン・ブリティン展
会期:2005年5月29日まで
時間:10:00〜17:00(月曜休)
会場:ハイス・マーセリス
住所:Keizersgracht 401, 1016 EK Amsterdam
http://www.huismarseille.nl

チノ・オーツカ展
会期:2005年5月14日〜6月4日
会場:HUGギャラリー
住所:Eerste Tuindwarsstraat 16, 1015 RV Amsterdam
http://www.hughug.info

Text: Ania Markham from Post Panic
Photos: Courtesy of Chino Otsuku (Huis Marseilles), Hussein Chalayan (Groninger Museum), Antoni and Alison (Huis Marseilles), Michelle Sank (Huis Marseilles)
Translation: Yuhei Kikuchi

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