トモアキ・リュウ

PEOPLE

新年のトップを飾るカバーデザインを手掛けてくれたのは、シフト2005カレンダーコンペティションで作品が選出された、ロンドン在住の日本人アーティスト、トモアキ・リュウ
グラフィティをベースにしながらも、ウェブサイト、ファッション、グラフィックデザインなど様々なスタイルにもチャレンジ。アプローチを重視し、力強い作品を生み出す。これからの活動に目が離せない要注目の人物の一人だ。


まずはじめに、自己紹介をお願いします。

トモアキ・リュウです。グラフィックデザインから映像、イラストレーションまで幅広くやっています。

最近の活動内容を教えてください。

つい先月から、私のデザインしたナイキのカスタムシューズを、ロンドンにある「Beyond the Valley」というギャラリーショップで、展示及び販売しています。そこは大学の同期の友人達が始めたショップで、様々な分野のユニークなアーティストの作品を取り扱ったとてもエキサイティングな空間になっています。
他にはロンドンでのエキシビジョンの誘いをうけてその為の作品を制作しているところです。
基本的には書籍への作品の寄稿が主になりますが、現在ではよりウェブサイトなどの個人制作に重点を置いています。
近所の印刷屋が潰れたのをきっかけに、様々な種類の紙をたくさん頂き、今まで「Headz-magazine」というvisual Zineを制作していましたが、これからはオンラインベースに代えて、作品の展示及びクリエイターのコミュニティーの場になればと思い、やっていこうと考えています。
Neutoneというクロージングレーベルに関しては不定期ですが、Tシャツやカスタム物、その他小物類を作っては販売しています。今年も引き続きどんどん制作していきたいと思っています。2006年頃には、テキスタイルデザイナーと共にレディースのブランドをコレクションとして公の場できちんと発表したいと考えていて、素晴らしい物を皆さんにお見せできればと思っています。

現在、ロンドンで活動されているとのことですが、イギリスでグラフィックデザインを学ぼうと決めた理由は?

日本の高校での生活に意味を感じなくなり、半年ほどで自主退学して16、17歳くらいから関西を中心に大阪や京都で版画や絵画、シルクスクリーンなどを色々なアーティストの方に付いて学んでいました。基本的には技術というより、物作りに対する考え方や姿勢などですが、いつも熱く議論を交わしていた現場にいたことで物作りへの考え方や土台を形成していったのではと考えてます。その間にいろいろな方からのアドバイスを聞き、イギリスに行く機会を与えてもらったのがきっかけです。
当初はデザインを学ぼうと思いロンドンに来たわけではありませんでしたが、学生生活の中でグラフィックデザイン(範囲は広いですが)という分野に可能性を見つけられた事が一番の要因だと思います。
クリス・カニンガムやトマトはもちろんの事、過去のシフトのカバーデザインを手掛けたハイレス!、イントロ、ミーカンパニ、デザイナーズ・リパブリックなど、あげている方々はほんの一部ですが、自分の目指す方向にすばらしいクリエーターがたくさんいた事で、よりイギリスで自分を試してみたいという意識が芽生えました。

自分の作品に一番影響を与えているであろうコトは何ですか?

毎回プロジェクトによって様々なのですが、やはり身の回りにいる友人や生活環境など本当に常日頃の生活が深く影響していると思います。

外から日本を見て、思うことはありますか?

特に日本のデザイン誌やファッション誌などはロンドンでも話題になりますし、すごく刺激的な物だと思います。世界視野で見ても日本の雑誌はハイクオリティだと思いますし、ビジュアル表現が独特で西洋文化にはないすばらしいものだと感じています。常に時代が何を必要かを察し興味深いエキシビジョンをしたりと時代の先を読む鋭さというものを感じます。その代わり“流行”という一言で片付けられてしまうくらい物事の移り変わりが非常に早いですね。

シフト2005カレンダーコンペティションで、選出されての感想は?

とても嬉しく思います。急な知らせだったので驚いています。しかしそれと同じくらい世界中の方々からたくさんの興味のあるメールを頂いたりして面白い反応を得ることができたことに何より感激しています。もっともっと世界中の多くの人達に作品を見てもらう機会ができるように今後も励んで行きたいと思っています。

自分自身にとって、何かをつくるということは・・・

特に現状況から言えば、皆マック(ウィン)を使い、同じアプリケーションを使用し、同じ情報を見たり聞いたりして、オリジナリティーの確立というのがすごく難しくなってきていると思うのです。
他人の二番煎じのような作品、何かの雑誌で見た事あるなぁと感じられるもの等は作りたく無いし、音楽や映像に関してもそうですが、今までの自分の学んできた過程と物づくりとを考える時そういう風にはならないと思いますし、その人なりのアプローチの仕方が大事なのではないかと思います。
何かをつくるということは・・・という考え方よりは、物作り自体が私のライフワークと言えます。スタイルの固定など自分自身を限定したく無いし、常に興味深い作品を追求していきたいです。それは目新しさだけを求めたようなものではなく物事を意味のあるものとして見せていきたいですね。自分一人じゃなく関わってくれるすべての人に感謝の気持ちは忘れずにいたいですし、常に身近にいる人達に支えてもらっているというのは忘れてはならない大事な事だと思います。

今回のカバーデザインのコンセプトを教えてください。

今回のカバーデザインは、私とニシダ・タクジの協力によって製作していきました。(気の遠くなるような作業を協力してくれた事に感謝しています!)制作過程ではパスの多いイラストレーターファイルがなかなかいうことを聞いてくれなかったので手を焼きましたが、たくさんの事を学んだのも事実です。
まずインタラクティブなもの、フレームアニメーションでもそうですが、主題を逸れた中身のない技術だけを見せるようなものにはしたくありませんでした。それは“あるものを排除する”という事から入り試行錯誤しながら、違う視野からシンプルにも力強い作品が生み出せるのではないかと思い、自分なりのアプローチの仕方を考えました。
シフト(+新年)という主題に、フラッシュを使いどのようにアプローチすべきかを考え、新年を祝う花火の発想を発展させ時間的要素を加えました。それは98個のオブジェが次々消えていき、次へシフトしてゆく。それらは人であったり物であったり、その影だったりピクセルでもあり植物でもありうる様々な情報の集合体で、積み重なっては一瞬で消え積み重なっては消えるといった情報過多の現代の切なさを詠った詩のような作品なのではないかと私は考えます。

世界中で何万人といるグラフィックデザイナーの中で、過去のシフトカバーには現在第一線で活躍している有名なクリエイターが制作している“カバーデザイン”を2005年の始めから務めさせてもらえる機会を与えていただき、SHIFT及びその関係者の方々には非常に感謝しています。日本人としてこうして海外で活動できるという事、自分の眼で外の出来事を確認できるという事は、私は今素晴らしい経験をしているのだと感じています。

今後の予定やチャレンジしてみたいことを教えてください。

毎回のプロジェクト自体がチャレンジの連続です。そこからいろいろな事を学びながらデザイナーとして成長途中でもあります。特にエキサイティングな企画にはどんどんチャレンジしていきたいです。やりたい事は山程ありますが、ミュージックビデオの制作など常に映像や音楽とは深く関わって仕事をしていきたいです。

最後に読者にメッセージをお願いします。

最近では、物事というのは必然的なのかなと感じます。今まで自分の生きてきた中で学んできた経験として、シルクスクリーンや版画だったり、グラフィティーをやる為のステンシルをカットし、TシャツやZineを制作したりなど、最終的にやってきた事が一本の線で結ばれていっている様に感じます。それは次に向かう(シフトする)為に自分自身に必要な事だったのだと改めて実感せざるをえません(遠回りしすぎているような気もしますが、、)。
一つ一つの仕事のオファーにベストを尽くしてやっていくこと、苦労して初めて何かを学ぶのだと思いますし、そこから創造は生まれる。一歩一歩着実に踏み出していく事でクライアントにもビューアーにもそしてそのニーズに対しても理解してもらえるように今後も取り組みたいと思っています。作品に対するみなさんからの感想やコメントをもらえればとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。

長いですが私からの新年の挨拶とさせていただきます。
明けましておめでとうございます。
トモアキ・リュウ 1st Jan, 2005

トモアキ・リュウ
住所:London, UK
copyrightall@hotmail.com
http://www.headz-mag.com

Text: Naoko Fukushi

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