A10 マガジン

THINGSText: Ania Markham

もともと肉屋だったところの階段を降り、アムステルダムのPIJP地区から、おそらくヨーロッパで初の “歯に衣着せない議論が展開されていて、且つ、手ごろな” 建築雑誌「A10」が現実になる。11月に店頭に並ぶ創刊号は、結果的には、世界の高密度に展開されている建築状況が純粋にレポートされているだけの、飾り気のない雑誌しか存在していない建築雑誌市場のギャップを埋めることになるだろう。

「A10」を創った人たち(美術史家で、キュレーターで、作家でもあるハンスと、グラフィックデザイナーのアルヤン)は、アルヤンが、より率直な建築雑誌を創りたいという欲望を満足させるようなフォーマットを彼自身が思いついてから程なくお互いは出会った。彼の友人は、彼をハンス(20年来、建築界にどっぷり身を置いている人物)に引き合わせ、近代のヨーロッパ建築界における栄誉を称えられない英雄たちに脚光を浴びせようという、お互いのビジョンをシェアできるのだと確信した。

この雑誌はグローバル化が進んだ時代、さらに言うとヨーロッパ化が進んだ時代に創刊され、オランダだけではなく他のヨーロッパ諸国にもあてはまる建築の学びかたや、働きかた、そして建て方にも実際的なインパクトを与え始めている。

今日では海外で勉強したり、あるいは卒業してからのちょっとした “混乱期” が続くのもまた普通のことだ。この手の、まるで “受粉” にも似た現象の直接的な結果は、建築的な活動を始めるに際して、出身国がどこかということや、同じ国の人と組んで仕事をするということに関して、まったく制限を与えないというになる。現実に、様々な国の人が集まって一緒に仕事することや、ビジネスのメインストリームから遠く離れて活動することがまったくもって普通になってきている。こうしてヨーロッパ大陸では “相互受粉” が徐々に進行している。このような影響下で、どのようにして建築が発展していくのかを追うことは、不可欠なことではないだろうか?

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