「マガジン」展
HAPPENINGText: Terevision Ruiz
2年前からソフィア王妃美術館のエスパシオウノを担当しているラファエル・ドクターの企画による「マガジン展」は、美術展として、架空の雑誌を製作するプロジェクト。アナ・ゴンザレス、トーマス・ミナンブレス、ラミロ・イー、ダニエル・リエラ、ヘスス・ウベラ等のスペインのアンダーグランドでは著明な名前が、その展覧会では並ぶ。これらの写真家の多くの作品は、NEO2、AB、ヴァニダなどのスペインでものトップレベルのトレンド雑誌で見ることができる。作品と作家の選出を担当しているアーティストでもあるダイアナ・ラレアは、この新しい展覧会の空間演出も手掛けた。つまり、この展覧会のセット自体もアート作品の一つでもあるのだ。
トレンド雑誌という用語は、アート、デザイン、ファッション、建築、音楽などのさまざまな分野をカバーする出版物のイメージをすぐに思い起こさせるが、常に最も革新的で創造的で反抗的な姿勢によるものである。そして、時に少数派であり、一種変わったスタイルコードで人生を理解しているような特定のオーディエンスの注目を引こうとしているのである。
ニューヨークの「インタビュー」や、21年前から存在している英国の雑誌「I-D」などの先駆的な出版物は、コピーされるモデルであり、現在も健在だ。1980年に、I-Dの発行者であるテリー・ジョーンズは、音楽とファッションをミックスした同人誌の出版を開始した。当初、プロジェクトの成功を信じる者は一人も居なかったが、それをくつがえす様にイギリスの若者には、このアイディアが大いにうけた。それから今日まで、世界中の多くの出版物がこの道を辿ってきた。リスクの高いテキストと示唆に富む画像でいっぱいのページは、他のより厳格で階級意識の高い雑誌との差別化を図れたのだ。
『このプロジェクトは、シンプルに私達が慣れ親しんでいるアートへ敬意を表すのと同時に、取り扱っている記事にウィンクを意味したいのです。そして実際にそれらのページは親しみがあるものですし、当初思っていたよりももっと私たちは頼り切っているものなのです。これらページは、その時代のイメージを描写する役割があります。彼らの絶え間ない賭けを通して、私たちが現在何をどのように生きているかというイメージを構成するいくつかの機能を定義するのです。』とは、このプロジェクトの責任者、ラファエル・ドクターの言葉である。
トレンド的な雑誌は、私たちが生きている時代を写す鏡であることは明らかである。もし雑誌がなかったら、もう必要不可欠となってしまった最新の流行についての情報を何処から得ればいいのだろうか?雑誌とは絶対に必要な文化的な参考書なのである。
MAGAZINE展
会期:2002年3月6日(水)〜4月17日(水)
会場:Sala Amadis
住所:71 Jose Ortega y Gasset, 28006 Madrid
TEL:+34 917 82 7600
https://www.injuve.es/creacionjoven
Text: Terevision Ruiz
Translation: Sachiko Kurashina