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マイク・ケリー展「UNCANNY」

HAPPENINGText: Christina Merl

モンスターを破壊。モンスターを展示。デトロイト生まれのアーティスト、マイク・ケリーはこの2つをやろうとしている。

1970年から80年にかけ、マイクはパンクバンド「Destroy all Monsters(モンスター殺せ)」のメンバーで、社会に革命をおこす心構えは十分だった。10年ほど前の1993年、彼はオランダで「UNCANNY」という展覧会を行った。これを機に、彼は「Playing With Dead Things(死んだものと戯れる)」というエッセイ本を出版。その本ではウィーンの心理セラピスト、ジークムント・フロイトの論文について言及している。辞書上では、“神秘的な・異常な” という意味を持つ“UNCANNY”。フロイトの定義は、「ある圧力に耐えていた親しみのある何かが、そこから抜け出してくること」だ。


Mike Kelley, Sleepwalker, 1997, Polyester und Farbe, 165 x 51 x 76 cm, Collection Berkley Trust, London, Photo: Tony Matelli, Courtesy of Andrehn-Schiptjenko, Stockhol

よく知っていたはずのものが突然恐ろしいものになるなんて、不安で戸惑わずにはいられない。フロイトの考える “モンスター” とは、生命のあるものは魂を持っているのだろうか。また逆に、生命を持たないものが魂を持っているかもしれない、という “疑心” だという。ケリーの「UNCANNY」のインスピレーションはウィーンにあった。曖昧さや奇抜さがあらゆるものに浸透した19世紀後半に、だらだらと尾をひく精神病状態にアメリカ人アーティストが陥ったのもこの街だった。そこでケリーは、精神病院のろう人形や古びた遊園地にあるモノなど、ウィーンの “UNCANNY” な場所から得たものを作品に取り入れた。


Mike Kelley, Harem #1, Squeeze toys, Photo: Lisa Rastl, Courtesy Mike Kelley, Los Angeles

今年、リバプールのテート・ギャラリーでの展覧会を機に、彼の展覧会はリメイクされた。現在はウィーン近代美術館MUMOKで展示されており、古代エジプトの墓の装飾品から、クリスト、ポール・マッカーシー、トニー・アウスラーなどの現代アーティストによる作品に渡る、長い歴史のパノラマに “UNCANNY” な造形表現を関連づけるという彼独特の展示方法となっている。劇的な彫刻セクションには、マイク・ケリーのコレクション「Harem」も含まれている。このコレクションは、彼が幼年期から青春期にかけてふれたビー玉などのおもちゃから何百枚ものバブルガムのカード、ポストカード、レコードのジャケット、雑誌、教会の旗など15種類の品々から成っている。「The Harem」は消費社会に典型的な物で構成されており、それらを一つに集めて標準化することで、そのモノたちの “UNCANNYなオーラ” が醸しだされている。そしてケリーの彫刻は、人体のもろさ、醜さ、死を表現している。生命を持たない人形は人類にとって変わり、私達よりも長く “生きる” のだ。


Mike Kelley, Kopf eines Indianerhauptlings aus Prauschers Panoptikum im Wiener Prater (gegrundet 1872) Wachs bemalt Kunstkammer Georg Laue, Munchen © Photo: Margret Schuetzeneder

7月17日から8月12日には、ウィーンのフィルムカジノフィルムミュージアム・ウィーンの2会場で「THE UNCANNY」と題したフィルムフェスティバルが開催された。様々な映画が幅広く上映され、1930年代の表現派映画から「フランケンシュタイン」(ジェームズ・ホエール, 1931)、「午後の網目」(マヤ・デレン, 1944)、「イレイザーヘッド」(デヴィッド・リンチ, 1978)、「死霊のしたたり」(スチュアート・ゴードン, 1985)、「戦慄の絆」(デビッド・クローネンバーグ, 1988)、「ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録」(ジョン・マクノートン, 1990)のようなクラッシクホラーやスプラッターフィルムが上映された。

Mike Kelley “The Uncanny”
会期:2004年7月17日〜10月31日
会場:MUMOK
住所:1 Museumsplatz, A-1070 Wien
TEL:+43 1 525 00
info@mumok.at
http://www.mumok.at

Text: Christina Merl
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Courtesy of MUMOK © Mike Kelley

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