ラリー・サルタン

PEOPLEText: Reto Caduff

ラリー・サルタンの「ザ・バリー」という写真シリーズは、サン・フェルナンド・バリーの中流階級の家と、その家を映画用セットとして貸し出しているポルノ産業を映しだすものだ。ブルックリンに生まれ、バン・ナイスのバリーで育った彼は、いくつもの顔を持つこの地に対して独特の視点を持っている。90枚のフルカラー写真をフィーチャーした作品集が最近発売された。


Off Sepulveda, from series The Valley, 2001 © Larry Sultan

ロサンゼルスという都市の中心に横たわる本物のアイデンティティを探るには、山を超えてサン・フェルナンド・バリーに向かわなくてはならない。バリーはロサンゼルスの一部ではあるが、いわゆるハリウッドやベニス、ダウンタウン、ビバリーヒルズ、シルバーレイクなどを指す “L.A.” からは外れたところにある。バリーは “平穏” を大切にしていて、(それはおそらく目立たない街だからなのだが)、“快適な暮らし” とは何かの模範であろうとしている。50年代から60年代にかけて、中流のサラリーマン階級の家庭が、郊外に庭付き(プールももしかしたら)の一戸建てを手に入れられるチャンスが到来した時期があった。ラリー・サルタンの写真で大きな要素を占めるのは、この “郊外の家” なのだ。


Den, Santa Clarita, from series The Valley, 2002 © Larry Sultan

現在バリーに存在する、カーペットがきちんと敷かれ、車庫は2つ、豪華な天井や暖炉のある広大な面積を持つ家々は、チャッツワースのような眠ったコミュニティで制作するアメリカのポルノ映画産業を支える場所となり、年間にして90億ドルにも達するお金を生み出している。


Mulholland Drive #2, from series The Valley, 2000 © Larry Sultan

絶大なるポルノ産業のお陰で、おそらく世の中の男性は、知らず知らずのうちにこの “おかしな” 場所を目にしていることだろう。そしてサルタンの作品のお陰で、ポルノ映画が撮影される建築物についてより良く知ることができるだろう。

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