NIKE 公式オンラインストア

ソナー 2004

HAPPENINGText: Peta Jenkin

いろいろ見ている間に時間が押して来たので、急いで次に向かったのは、下の階にある、最先端で実験的な映像クリップの幅広いセレクションが上映されている「ソナー・シネマ」。ここは、ソナーのステージでドンッドンッと響くビートから逃れることのできるもう一つの薄暗いスペース。ここでは、ローマン・コッポラ、シャイノーラ、リリアン・シュワルツ、ユリ・アウミュラーによる作品などが上映されていた。


Konic Thtr

行ったり来たりしているが、コニック・シアターのビジュアルを見にまた「ソナーラマ」に戻りたくなり、ぎりぎり彼らのインタラクティブ・パフォーマンスに間に合わすことができた。彼らのプロジェクトの中に、部屋の中を踊るダンサーに反応するリアルタイム3Dシミュレーションがあった。

シミュレーションのボディは、動きがどうも滑らかではなく、バランス感に欠けていた。ここが、テクノロジーやそのプロセスに重点を置くこのフェスティバルの問題点でもあると感じた。確かにそのような技術は非常に進歩的なものが多いが、できあがった結果は、それを創作する過程ほど面白く見えないというところがある。これらのテクノロジーがもっと広く普及していけば、見た目にも洗練されたものが登場してくるのかもしれない。

ソナーのアート部門というと、テクノロジーとアートの融合という傾向があるが、そういうところが、例えば“オープンソース”を知らない人や任天堂のゲームに触れたこともない人を遠ざけることにもなり、そのような人達にはどんなに素晴らしいシステムであってもそれを生み出すために必要な技術や能力を理解してもらえないだろう。


Hector, Spray paint installation (note the spray-can device in the right-hand corner)

しかし、こう指摘した後でも取り上げる価値あるプログラムが「ソナーラマ」にあった。チューリッヒの電子工学エンジニア、ユリ・フランケの協力を得て、ヘクターが考案したインスタレーション。ラップトップがワイヤーに吊るされたスプレー缶を操作して、それが壁につけられたモーターで動いて、アドビのイラストレーターから直接ベクター・デザインを読み込み、それを壁に描いていくのだ。これこそ“未来のグラフィティ”か?!

まだまだ続きます。次は「ソナー・バイ・デイ」のすぐ隣にあった大きなホール「ソナー・マティカ」。ここは、ソナーのアート・プログラムでメインとなる会場の一つだ。「ミクロネーションズ」は、テリトリーを作り、サイバー・コミュニティを作るというもので、今年の「ソナー・マティカ」の中心プログラム。このアイディアは、70年代のアーティストから生まれたもので、様々な形で現在まで受け継がれており、世界中のアーティストがこのアイディアを使い、もう一つのファンタジー王国、そして文化的・哲学的な試験場所としての架空政府を作る手段として「ミクロネーションズ」のアイディアを使っている。

あらかじめ私はこのアート現象をリサーチしていたのだが、ここへ入った時目の前にあるファンタジー王国の背後にあるロジックやプロセスを理解するだけの心的エネルギーを持てなかった。特にこの広範囲にわたるイベントプログラムの3日目ともなると…。ふらふらと展示されているものを眺めて出た。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE