ソナー 2004

HAPPENINGText: Peta Jenkin

フェスティバル2日目、私が一番楽しみにしていたのは、ウィーンでグラフィックデザインからウェブ、リアルタイム・インタラクティブ・アートなど幅広く活動するアーティスト、ライアのプレゼンテーションだ。プレゼンテーションが始まる前、時間もあったのでカナダのアーティストグループ・アーティフィシャルによるインスタレーション「バルブス」を観に階上に向かった。ランプが音を出し、近くに立っている人を照らしながら、周期的についたり消えたりというのを繰り返している。ライブパフォーマンスの場合には、電球がコンピューターと“遊び”、様々な信号形式が音をひずませるらしい。


“Bulbes” by Artificiel

下へ戻るとライアのプレゼンテーションはすでに始まっていた。インタラクティブ用のアプリケーション「ディレクター」のアルゴリズムを使った、マウスの動きと音の組み合わせに反応してピクセルが散らばったり形をつくったりするインタラクティブ作品を見せてくれた。ライアは、シフトのギャラリーコンテンツ「BIN」にも作品を提供している。


Still-frame from interactive work by Austrian artist Lia

彼女の作品は私がこれまで見たビジュアルの中で、最もデザイン性を感じさせるものだと思う。彼女はこのプレゼンテーションの他にも、木曜日の夜に行われた坂本龍一のコンサートや様々なライブステージでも数多くパフォーマンスをしていた。

メイン会場で見たいものがまだまだあったので、もう一度観光客の波に紛れながらランブラス通りを抜けて、コンテンポラリー・アートセンターにある「ソナー・デイ」の一部、「ソナー・アラカルト」に向かった。


Sonar A La Carte

「ソナー・アラカルト」では、リラックスできるサロン・スタイルの空間にコンピューターが用意されており、そこでデジタル・インタラクティブ作品を見る事ができた。隣の部屋で行われていたカンファレンスやディベートの多くが、この部屋で展示されている作品と関連するものだった。このプログラムの一つの柱としてあったのが、プロセッシングだ。これは、コンピューターで創造可能なアートの無限の可能性を引き出すツールとして、ケイシー・リースとベン・フライ、2人のプログラマーが開発したコンピューター言語だ。アドビをはじめ、3Dアニメーション用ソフトのマヤやライトウェーブなど、必携ソフトとしてみなされているものがなくてもデジタルアートを作り出す方法をアーティストに提供し、そのような商用ソフトにある制限や限界も取り払えるものとして、この言語を開発したそうだ。


Still-frames from interactive pieces by Berlin-based artist Marius Watz

マリウス・ワッツや、TOXIソーダなどもプロセッシングを使った実験的作品を展示していた。

「ソナー・アラカルト」のもう一つのプログラムでは、プロセッシングのようなプログラミング言語を使いゼロから何かを始めるのではなく、もともとあるソフトウェアを駆使して今までにはない何かを作るアーティストを取り上げていた。エイミー・アレクサンダーのキュレーションによる、そのような作品は、RUNME.ORGPLAGIARIST.ORGで見る事ができる。

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