第6回 ファッション・ブエノスアイレス

HAPPENINGText: Gisella Lifchitz

今回で6回目を迎えたファッション・ウィークが、9月1日から4日に渡って、ルーラル・ソサイエティを会場に開催された。今回は、オリジナル作品をちょっとコミカルなスタイルで紹介。前回とは、ちょっと違った雰囲気が感じられたウィークだった。

しかし、準備が不十分だったというのは、決して否めない点。例えば、年輩の女性がチケットを買うのに苦労していたり、人込みの中で靴を無くす人も多発。デザイナーがスタッフを叱っている場面を目撃することも、珍しいことではなかった。音楽も、必要以上に大音量。そして何と言っても極め付けは、音楽ではないが「あっ、靴が落ちてる!誰か、落とした人はいませんか?!」というアナウンスが、頻繁に耳に飛び込んで来たことだ。

そんな中、私はセシリア・ガデアのファッションショーを鑑賞。これに関しては、ファッションショーと言うよりは、コンサートと称する方が適切かもしれない。まず、舞台の後ろの方に見えたのが、素晴らしい音楽を次々と奏でる、3名の男性からなるオーケストラバンド。その音楽に合わせて、静かに歩くモデル達。私と言えば、後ろでひっそりと演奏をするミュージシャンに、拍手喝采のど真ん中にいる自分の席を、譲ってあげたい気分だった。

今年は、多くの著名人がウィークに脚を運んだにもかかわらず、会場自体はがらんとした寂しい雰囲気。これは、舞台の数もそれほど多くなかったため、ファッションショーもそれに比例して多く開催されなかった、という理由だけだろうか。会場を訪れた人たちの多くも、学生や有名デザイナーの知り合いという人達ばかり。どれも、ただテレビに映りたいというのが目的だ。

次に私が見たのは、アラセーリ・ポワーセルのショー。ポワーセルが行ったのは「リトル・ダンス」と題されたショーで、アルゼンチン北部の伝統音楽のコーラスをバックに、モデルがコレクションをまとって登場するというものだ。「コレクションを全て見せていなかった」と怒る人もちらほらいたが、私は結構良かったのではないかと思う。どのモデルも可愛らしかったし、素材を間近で見ることができたのが良かった。また、実際に普段、着れるようなデザインであったこと。そして色の豊富さも、私が気に入った点だ。

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