ビューロ・デストラクト

PEOPLEText: Sachiko Kurashina

「もし ビューロ・デストラクトってどんな人たち?って聞かれたら、僕達はきっと『君たちにとっては姿の見えない存在だよ。僕達は森に住んでいて、短い腕と短い脚がある。真夜中にこっそり君の枕元に行って、君の頭に袋をかぶせて息を止めるんだ。そして、果てしない旅へと君をいざなうんだよ』と答えるだろう。そして同時に『僕達はいつも君のそばにいるからね』とも言うだろう(Buro Destruct II、序文より)」。

まずはじめに、自己紹介をお願いします。

ビューロ・デストラクトのロペツです。若手アーティストのサポートとプロモーションを目的に、HGBフィデルユスが、デストラクト・アゲントゥアを1992年に設立。1994年に僕がグラフィックデザイナーとして加わり、グラフィック・デザイン・ビューロ・デストラクトが誕生しました。現在は、 ビューロ・デストラクト(以下BD)として活動しています。メンバーは、Mブルナー、H1レバー、 ヒューウィッド、モリツ、そして僕ロベツの5名。現在BDでは、企業ロゴからロゴタイプ、広告、書籍、レコードやCDのジャケット、ポスター、そしてフライヤ−まで、実に幅広いプリントデザインを行っています。またその他にも、タイプフェイスの制作は、BDの得意とする分野で、タイプディファレントというサイトを2002年の2月にスタートさせたのですが、このサイトでは、僕達が制作したフォントを紹介しています。

1999年に、ベルリンのゲシュタルテン出版社より「ビューロ・デストラクト」という作品集を出版しました。この本には、1994年から1999年にかけての作品が紹介されています。その他にも「エレクトロニック・プラスチック」という本を2000年に出版。その後、日本の現代グラフィックデザイナーを紹介する「成田インスペクテッド」を2001年に発表しました。これは、僕が実際にリサーチとデザインを担当し完成した本です。そしてこの夏、BDは2冊目となる作品集を発表しした。過去4年間に制作した作品が、ぎっしりと詰まった一冊です。

昨年僕達は、ロスロゴスというインターネットプロジェクトを開始しました。これは、とにかくロゴというロゴは全て保護しようというサイトで、ビジターはどんなロゴでも、サイト内にある、ロゴロゴス・シティにアップロードできます。


Buro Destruct

グラフィックデザインを扱うショップ、ビューロ・ディスカウントをオープンしたのも昨年です。スイスのチューリッヒにあるこのショップは、小規模ながらも素敵なお店。オンラインショップも、来年にはオープンする予定です。

日本人になるには充分すぎるほど、ちょっぴりクレイジーで真面目なBDですが、今もって小さくて健全なスイスの首都、ベルンで活動しています。

メンバー全員がアートスクールを出ていますし、広告会社での経験があるので、各々がデザイナーとしてのバックグランドを持っています。実は僕らの出会いは、学生時代。それ以来ずっと仲良しで、好きなことをやりながら今日に至る、といった具合ですね。


“Ereignisse” programme, poster, flyer for art-performace featuring Roman Signer, Client; Kulturhallen Dampfzentrale, 2002

普段の活動内容と、最近手掛けたプロジェクトについて教えて下さい。

まずは、今紹介した通り、BDの作品集第2弾をリリースしました。これは、過去4年間に制作した作品の中から、厳選された僕達お気に入りの作品が紹介されている本です。この作品集のリリースに合わせ、現在は、チューリッヒ、東京、ロンドンでのプロモーションイベントで大忙し、といった状態です。全てのイベントが無事終了したら、ちょっと休暇を取る予定です。その後、11月に南米のエクアドルでワークショップとスピーチを行う予定が入っています。来年にはいよいよビューロ・ディスカウントのオンラインショップサイトがオープンします。最近の出来事と言えば、僕達が活動するベルンの街に流れる川で泳ぎまくっている、ということかな。御存じの通り、今年のヨーロッパの夏は大猛暑なので、川泳ぎは、ぼぉぉーっとなった頭をリセットできる良い気分転換です。

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