ハンブルグ・アート校卒業制作展 2003

HAPPENINGText: Andrew Sinn

僕が住むここ、ドイツのハンブルグには、ハンブルグ・アート校(通称、HFBK)という学校がある。ファインアートや商業デザイン、ビジュアル・コミュニケーション、彫刻、建築などを学ぶことができるこの学校では毎年、大規模な卒業制作展が催されている。今回は今年発表された中から、いくつか興味深い作品を紹介したい。

展覧会が始まるやいなや目に飛び込んで来たのが、建築家のたまご達による、作品の安定性を競うコンテスト。上の写真を見て分かるように。段ボールで制作されたタワーに重りが入った袋を付け、壊れるまで、あるいは落ちてしまうまで、どのぐらい耐久性があるかを判断するというものだ。担当者である生徒は、黄色の作業着とヘルメットを着用し、危険防止の為に会場内をしっかり管理。僕は、350kgの重りに耐えているタワーを見ることができた。実際に会場にいなくても、タワーが落ちた時の音や状態は、きっと簡単に予想がつくことだろう。

次に僕が見たのは、素晴らしい技術を持つ生徒のパフォーマンス。彼は、様々なパターンを作り出そうとしていたのだが、上にある写真は、左側の写真の下の方にある取っ手を引っ張ると、ただの円形状だったものが、車輪のような輪に姿を変える、という作品だ。

上の写真の中にあるレコードジャケットを良く見ると、ジャケットの一部がお互いに入れ代わっているのが分かると思う。それと同様に、レコード自体も一部が入れ代わっているため、ヘッドフォンを耳に当ててみると、左のレコードを聴いていたはずなのに、音の一部は右のレコードのものという不思議な体験ができる作品だ。

次に紹介するのは、木で制作された、ロボットの手のような作品。右の写真はこの作品のリモコンで、このリモコンを通じて、指の一本一本を操作できるというものだ。

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