バラバス
PEOPLEText: Jorg Heikhaus
ひんやりと少し寒さを感じさせる夕暮れが、次の季節を知らせる前に、最後の夏の太陽の光が私達を温めているかのようにゆっくりと少しずつ夏が終わろうとしている。まるでこの数ヶ月間での最上の日々やアーバンアートやカルチャーの中に見た新たな発見を思い廻らせるかのようでもあった。例えばそれは、ハンブルグの音楽/芸術プロジェクトをベースとする、バラバスの出現。2005年この街で一番エキサイティングなバンドとして人気の出てきているバンドだ。
ロシア版のおとぎ話「ピノキオ」(アレセイ・トルストイ著作)の中でのピノキオの敵・悪役バラバスから発想したバンドは、毎回ステージでシニカルな “ジャズテイストの舞台” を見せてくれる。そしてそれはこの夏の彼らのパフォーマンスそのものでもあった。
おそらく彼らのパフォーマンスは最近ハンブルグで最も多く予約の相次いだパフォーマンスのうちの一つだろう。バンドのレパートリーはロシアの童謡から早口言葉や歌にした代数学と様々だ。どれも2つの声、ダブル・バス、ドラムとおもちゃの楽器(または、おもちゃが楽器として使われたりもする)で演奏される。
ロシア語で歌われるバラバスの歌は、海賊と猫の奇妙な密通の話からガソリンまみれのゴム人形がパッと燃え上がる話、気違い達のトラウマ的な数々の出来事の話などを歌語っている。
彼らのアルバムはまだ制作中だけれども、一つだけその壮観さ、バラバスを十分に味わわせてくれる物がある、ライブで彼らを見ることだ。海兵服を着た3人の男性と、美しく常に白のフワフワっとした狐の毛皮の衣装か上品なロングカットの海兵ドレス(オーストラリアのデザイングループ・リンゼンによる最新のデザインが施されている)でドレスアップされたリサ・アリサ、バンドはこの4人で構成されている。
マスクを付けたリサ・アリサ(トルストイの本中の雪の狐)の顔の下には、ハンブルグ一のDJミュージシャン、クク・シナ・ポルトノヴァが隠れている。彼女は試行的なアンダーグラウンドのDJ機材でよく知られている。バラバスのロシアのリードシンガー、ロビン・レヴィンと共に、彼女はウォルサー・マカロヴとして活動もしている。
バラバスとしては、彼らは演じ、歌い、叫び、怒鳴り散らす。4人のメンバー達は自分たちのコンサートを舞台に見立てている。そこでは自分たちミュージシャンは役者であり、ジャズパンク喜劇へと変化したおとぎ話の登場人物なのだ。ハンブルクの主な場所、ゴールデン・プードル・クラブ、スチルロペル、ウェルトビューネ、ハフェンクラング、ハンブルグ芸術高等学校(HFBK)、フュージョンフェスティバルでの演奏を終えた後、次に彼らをライブで見られるチャンスはルーベック(トレイブサンド)でのライブだ。
Text: Jorg Heikhaus
Translation: Fumika Sugimoto
Photos: Courtesy of Barabass