朝食のためのリーディング

HAPPENINGText: Gisella Lifchitz

ライターでもあり、この会合のアシスタントも勤めるガルシアーナ・メンデツは『毎回、会合が終わると、もう次の会合まで待てないという気持ちになります。彼らはサークル内のみで配付される雑誌を制作しているのですが、雑誌にはまだまだその会話が続くような対談に溢れています。個人的には、講議と呼ばれるもの全てがこのような対談になるべきだと思います』と語ってくれた。

台所からの贈り物は、心のこもった贈り物だ、と言う人がいる。料理は私達の気持ちを捕らえて離さないもの。そして料理に関する小説、物語、そして映画の数は計りしれない。耳に心地よい声を聴きながら、濃厚で味わい深い料理を楽しむというのは、もうほとんど悩殺的な状態だ。そして誰にでも、おばあちゃんが絵本を読んで聞かせてくれたり、あるいはベッドの中で朝食を楽しんだという思い出があると思う。そういった思い出は、まだ無知だった頃の幸せな子供時代を蘇らせてくれるものだ。

ミルクやチョコレート、そして砂糖といった甘い存在。お母さんが作ってくれた手作り料理の味は、どこへ行っても一つとして同じものは存在しないものだ。もしかしたらその味こそ、誰もが一番良く知っているものであり、それを求めるあまり、本を読み進めることに夢中になってしまうのではないのであろうか。手作りクッキーの作り方は現在、サイト上で公開されており、それはそれで、また新たな講議のよう。実際にイベントそのものがレシピを中心に展開されるため、会合も盛り上がるというものだ。

イングリッシュ・タワーで行われたような大規模なイベントでは、小さなテーブルにコーヒーや紅茶、そしてもちろん、クッキーも用意されていた。ここまできたら、もうクッキーの甘い存在を無視することは不可能だ。実際、本の紹介というものは、私達の気持ちだけではなくお腹までも満たしてくれるようなクリエイティブな人たちにとっては、そしてこの寒い冬の時期にはちょうど良いパフォーマンスだ。こう考えると、生きる楽しさを感じることができないだろうか?

Reading for breakfast
会期:2003年6月7日(土)
会場:The English Tower
住所:Del Libertador Avenue, San Martin St, Buenos Aires
TEL:+54 11 4372 3612
https://www.desayunandolecturas.com.ar

Text: Gisella Lifchitz
Translation: Sachiko Kurashina

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