ウィー・ワーク・フォー・ゼム

PEOPLE

マイケル・シーナとマイケル・ヤングによるデザインチーム「WeWorkForThem」。先日、彼らの代表的なサイトである「Designgraphik」「Trueistrue」「Submethod」をクローズし、そのサイトをまるごと収録したCD-ROM付きブック「ONE」を発表した。はたしてその真意は? 次は何をしようというのだろうか?


まずはじめに自己紹介をお願いします。

WeWorkForThem (以下WWFT)です。WWFTはデザイン事務所ですが、「YouWorkForThem (以下YWFT)」というオンラインストア兼独自のブランドも運営しています。メンバーは、マイケル・シーナとマイケル・ヤングの2人のみ。全て2人でやっています。WWFT名義での活動のクライアントは、MTV、BestBuy、ESPNなど。この他にもYWFTでは、商品の発送や梱包といった作業も自分達でやっています。つまり、すごく一生懸命働いています。

「YouWorkForThem」と「WeWorkForThem」について教えて下さい。各々のサイトでは、どのような活動を行っていますか?

信じられない額の予算だったり、あまり好ましくないクライアントがいるのが現実。だからこそ、きちんとしたクライアントは、僕達が本当に選んだ甲斐のある人材だということを知っていると思います。基本的に僕達は、クライアントからの仕事が純粋に僕らと一緒に成されるものでなければ、その仕事は受けないようにしています。つまり、いつも5分5分のチーム編成でなければいけない。お互いが創造性豊かな状態で同じテーブルに着き、アイディアを実行に移すべきだと考えるからです。こまごまとしたプロジェクトをやろうとするクライアントに、ちょっと疲れちゃった…と言うか。でも、このような新しいやり方に変えたたお陰で、僕達だけでなく、クライアントにとっても、前よりも良い仕事ができるようになったと思います。クライアントの要望にはちゃんと耳を傾けますし、彼らが望むことをきちんと実行に移していると自負しています。

「YWFT」には、 常にたくさんのラインアップが用意されています。このストアを開始した当時からそうだったように、このスタイルはこれからも変わらないと思います。とにかくいろいろな商品が揃っているのがこのストアの特徴です。さまざまなアーティストの作品がフィーチャ−されていて、WWFTにとっては初めての出版物「ONE」と、プロジェクト「ARBA」を最近発表しました。 今まで、本当にたくさんのデザイナーとプロジェクトをこなし、彼らの才能を探究してきました。どのアーティストやデザイナーも、本当に素晴らしい人たちばかり。彼らの作品をリリースでき、そして彼らの成長を見守ることができるのは、僕達にとっては誇りでもあります。

「ONE」を作るきっかけは何だったのでしょうか?また、どのような内容になっていますか?

僕達が持っているアイディアを発展させるために、今まで制作してきたウェブ・アート作品をこの「ONE」に収録しました。そういった作品全部に、もうそろそろ終着点を与えた方がいいかもしれない、と思ったのです。1998年からの6年間に制作された、オンラインの作品が収録されています。
それら作品を掲載していたのが「Designgraphik」「TrueisTrue」「Submethod」の3サイト。いつも「また一緒に仕事をしよう」といってくれるアーティスト達がいてくれるので、プロジェクトを完全に終了さたくはありませんでした。みんなから受けた素晴らしい貢献に応えるために、この本や添付のCD-ROMを通じて、もう一度みんなに作品を紹介し、それらを見ることができる機会を作らないといけないな、と思ったのがきっかけです。

なぜサイトを閉じてまで、パッケージングしようと思ったのでしょうか?今回のこの試みの目的は?

いろいろ理由はあるのですが、作品を全部ひとつにまとめる時期が、たまたま今だったのだと思います。この3つのサイトへのトラフィックが、かなりあったので、オンラインとして運営していくのが、コスト的にかなり厳しくなったことも一理あります。また、今まで僕達はオンライン上でたくさんの作品を紹介し続けてきたので、僕達のことを「ただの」ウェブ・デザイナーだと思い込んでいる人たちが多くなってきてしまい、そういうのにもウンザリしてしまったのもあります。
また、過去2年間に僕達が行ったクライアント・ウェブ・ワークが5件ぐらいだったのですが、プリントワークがそれの何倍にも多くなったのも理由のひとつです。プリントワークを通じて、クライアントワークも増えたので、これはこれで良かったことです。でも同時に、今ここで終止符を打って新しい方向性を見い出す時なのだと思いました。

すべての作品をCD-ROMと本に収録したのは、オンライン時代に作品を楽しんだ人たちに、もう一度作品を見ることができる機会を与えるのと、なぜ僕達がこの作品を制作したのかや、作品に込めたアイディアを知ってもらうためです。常にウェブがベースとなったアート作品を扱ってきて、しかも通常のウェブっぽさと比べてかなり奇抜な作品ばかりだったので、それだけだとその作品についての説明はあまり必要とされていませんでした。でも実は、そういったプロジェクトに関する裏話というのはかなりある。この本では、その裏話がきちんと、そして適切なフォーマットで紹介されていると思います。

実際にサイトがオフラインになり、パッケージングされたものを目の前にして、どのような感想を持っていますか?

今までの作品をすべて、形あるフォーマットに納めることができて、本当に良かったと思っています。この「ONE」というパッケージに、何年もの間に積み上げられてきたプロジェクト、アイディア、流して来た汗や涙が込められています。言葉だけでは、僕達にとっては何かを説明するには不十分なので、CD-ROMもつけました。本だけでも、まとめたり、コンセプトを考えたり、書いたりする作業に1年という時間を費やしました。今のところリアクションはポジティブなものが多いですね。そういった前向きなコメントをもらうと、正しい方向に進んでいるんだな、という確信につながりますし、これからも正しい方向に作品を持っていこうという気にもなれます。

サイトを閉じるということは、自身のポートフォリオのプレゼンテーションという機能がなくなる、とも考えられますが、そのことについては「マイナス」として捉えてはいないのでしょうか?

サイトを閉じるということを、良い意味としてとることもできると思います。と言うのも、WWFTのサイトにある“ポートフォリオだけ”を、ストレートにプッシュできるからです。5種類のサイトが一度に運営されていると、サイトを訪れる人にとっては、どのサイトに行けば僕らに辿りつけるか困惑してしまうことがよくありました。なので、すべてのサイトをカオス的ではなく似通ったものにし、WWFTのサイトにある、ポートフォリオに行きやすいようにしたのです。
今でも「TrueisTrue」と「Designgraphik」のサイトには、新しい作品を次々と紹介していますし、これからも出来る限りそうしていきたいと考えています。

「ONE」の次には「TWO」? 現存するサイトを今回のように閉じるということはなくとも、これからも本やCD-ROMといった媒体を使って、あなた達の考えやプロジェクトなどを発信していきたいと考えていますか?

「TWO」も予定しています。でもそれがいつ発表されるかは、神のみぞ知る、といった状態です。実は次のメディアとして僕達が注目しているのはDVDです。今まで本当に長い間ウェブに関わって来たので、今の僕達には、ウェブへの興味は0%に等しい。同じ場所にずっと居たり、ぬるま湯に浸かり過ぎるのはあまり好きではないのです。4年間という時間を、ウェブというメディアでの作品紹介に費やして来たというだけで、今は充分です。いろいろなメディアに通じる道はあると思うし、ブラウザーベースのインターネット作品ではない他のものに関するアイディアもあるはず。僕達のサイトに、いろいろな種類のプロジェクトがたくさんあるのも、これが理由です。

今後はどのような展開をしていきたいと考えていますか?<

このスタイルで毎日過ごしていきたいですし、タイプフェイス、ロゴ、プリント、ブランディング、DVD、ウェブ、コンセプト、3D、トラディショナル・アートなどなど、いろいろなメディアを毎月ひとつずつ挑戦してみたいです。そうすることが好きなのもあるし、そうやって前進し成長して行けたらな、と思って。そうでもしなければ、すぐにマンネリ化したつまらないものになってしまいますしね。もしパターン化された生活がしたかったら、織物工場できっと働いていると思いますよ。

ONE [Book+CD-Rom]
価格:26アメリカドル
YouWorkForThem」のサイトで購入可能。
info@youworkforthem.com
http://youworkforthem.com

Text: Sachiko Kurashina

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