「時間旅行」展 – TIME! TIME! TIME!

HAPPENINGText: Chiaki Sakaguchi

最先端科学技術を体験できる未来空間として、東京お台場に誕生した日本科学未来館。あの宇宙飛行士毛利衛さんを館長に据え、人型ロボットASIMOをインタープリター(展示解説員)として“職員採用”するなど、話題にもことかかない、まさに科学のアミューズメントパークだ。3フロアを贅沢に使った常設展示の他、“科学のネットワーク”を年間テーマとした企画展シリーズが定期的に開催され、好評を博している。その一つ、「時間旅行」展 – TIME! TIME! TIME! を見に日本科学未来館を訪れた。ちょうどタイミング良く、一日一回(土、日、祝日は2回)のASIMOショーに遭遇。テレビでしかみたことのなかったASIMOのチャーミングな動作に思わず感激。小学生たちと一緒になって「コンニチワ!」とか「キョウハアツイデス!」とかASIMOに向かって大声で話しかけてしまった。アトムの未来もそう遠くはない?とワクワク。

さて、「時間旅行」展は、会場全体をひとつの旅に見立てて、人類永遠の謎である「時間」について、様々な角度から検証しようという試み。特徴は、山口大学時間学研究所の専門研究者=サイエンティフィック・ナビゲーターが科学的に時間を吟味し、そのアイディアを18人の新鋭クリエイター=クリエイティブ・クルー(*)が形にする、という二面の楽しみを持っていること。両者が議論した内容も盛り込まれるなど、まさに科学とデザインのコラボレーションが叶った展覧会といえるだろう。

太古の昔から身近にありながら、ミステリアスな存在であり続ける時間。時代や文化によってもその捉え方は異なり、また宇宙と地球の時間の単位も異なる。(それに年を重ねるにつれて、どんどん時間が早く過ぎるように感じるのは気のせいか?) 解明されない謎は多く、だからこそ展示では理論的かつファンタジックな説得力を期待していたが、これがなかなか面白く構成されていた。

会場は時間をめぐる18のテーマと展示物で構成されている。光の旅、生命の時間旅行、宇宙の始まりから未来までの時間のフロー、動物の時間、重力と時間など、実に多彩。各展示の前には「科学のおみやげ」という黄色い紙が用意され、サイエンティフィック・ナビゲーターたちによる各テーマの解説と、さらにくわしく知りたい人への学習の手引きとなる推薦ブックガイドも載っていて、懇切丁寧なフォローがされていた。でも、文字を沢山読まなくても、ボランティアやインタープリターが親切に説明してくれる。つまり、自分でガイドブックを広げなくても、スムーズに見て回れる観光ツアーといったところか。会場は子供たちで賑わっており、案内してくれた日本科学未来館の広報担当の曽山さんによると、来場者は、一日2〜3000人、家族連れや修学旅行などの団体が多いという。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE