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ベルリン 2003

HAPPENINGText: Paul Snowden

どういうわけでこうなったのかは忘れてしまったが、とにかく僕は、北欧諸国の大使館からある招待状を受け取った。それは、23名の若手アーティストの作品をフィーチャーした展覧会への招待状。デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどの大使館が集結し、おそらくベルリンの中でも最も素晴らしいビルのひとつで、彼らの作品を紹介するというものだ。商業的な作品、製品、ファッション、グラフィックデザインそしてオブジェが、沢山の木と北欧らしい雰囲気の中展示されていた。

ベルリン国際映画祭も、2月に開催され、エキサイティングだったイベントのひとつ。開催期間中、僕はベルリンにはいなかったのだが、街は大いに沸き上がったに違いない。

ここでちょっとコマーシャルブレイク。 2003年5月、ベルリンのデザインシーンに激震が。デザイン・マイのオフィシャルサイトには、詳しい情報が公開されているので、こちらもチェック。もしこの時期にベルリンに来る機会があり、何かアシスタントが必要な場合は、どうぞお気軽に僕に連絡をください。

最近面白いなと思った瞬間。それは、ここベルリンにオフィスを開いたペンタグラムのデザイン・モニュメントを見た時だ。これを目撃した途端、アメリカやイギリスのデザイン会社がなぜベルリンに進出してくるのか、そして彼らは何を求めているのか、という疑問が浮かび上がってきた。もしかしたら直接彼らに聞いてみた方がいいのかもしれないけど。でもとにかく、ペンタグラムとは、なかなかかっこいい名前ではないか。ビジネスのやり方を知っている人のことを知るために、ペンタグラムのサイトは要チェック。

マッシブ・アタックの最新アルバムのポスターには、はっきり言ってヤラレた。「100 Windows」のサイトにある、マッシブ・アタックの4枚目のアルバム用に制作された作品を見てみてほしい。文句無しに、マッシブ・アタックはスタイルと美の基準であると言えるだろう。美しいタイポグラフィーを使い、ニック・ナイトが見事に意味のない意味を表現している。マッシブ・アタックがその作品が納まる場所を作り出し、そしてそれが全て、意味を成しているのだ。

デイズド・アンド・コンフューズド・マガジン1月号の64〜65ページにある作品にも、頭をガツンとやられた気分。これは、2ページに渡った、雑誌ビッグ・イシューの広告。ビッグ・イシューとは、社会復帰を目的に、ホームレスの人が売り子となって売られている手ごろな雑誌。ビッグ・イシュー財団とは、イギリスのホームレスの人々の援助を目的とした組織だ。ちょっと長めの広告文、上質の写真、目を引く見出し、重厚感のあるタイポグラフィーの、ちょっと古めかしいコンビネーションが見事。

2月15日、アメリカの対イラク攻撃に反対するデモが世界の各地で行われたが、ベルリンでも50万人の市民が集結した。センスの良いサインボードは、やはり目につき易く、しかもわかり易い。しかし、良いとされるデザインには本当に、人々に何かを感じさせ、行動を促し、リアクションさせるに至るまでの力があるのだろうか?良いデザインは、戦争を阻止できるのだろうか?現代版の抗議集会とは一体何なのだろうか?そして次に起こる革命とは、どのようなものなのだろうか?

Text: Paul Snowden
Translation: Sachiko Kurashina

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