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森美術館プレオープン企画「オープン・マインド」

HAPPENINGText: Jo Kazuhiro

ミロクは、今回の参加者の中で唯一鍵盤を用いたパフォーマンスを行い、穏やかな音で会場を包み込んでいた。スペシャルゲストでもある「L?K?O」は、ターンテーブル3台+ラップトップを用い、高音を強調した攻撃的な音を奏でていた。やはりDJによるパフォーマンスは、手さばき、指さばきといった身体性に富んでいるためか、聴衆の多くが彼のプレイを熱心に見つめつつ体を動かしていたのが印象的だった。


Left) L?K?O, Right) Keiichiro Shibuya

渋谷慶一郎は、緻密に構成された音の数々と閃光のように瞬くストイックな映像との組み合わせによるパフォーマンスで、彼がサウンドシステムの中央に立った演奏していたためもあってか、会場内の場所によって大きく音の聴こえ方が異なっていたのが興味深かった。

続いての稲田光造、残念ながら彼のパフォーマンスだけ聞き逃してしまったのだが、友人の話では特に最後の展開は圧巻であったとのことで、せっかくの機会を逃してしまった事が心残りだ。


Left) Merzbow

そしてメルツバウこと秋田昌美。言わずとしれたノイズ界の巨匠である彼のパフォーマンスは、今回のイベントの中でもハイライトのひとつだったように思える。特に前半の徐々に音が増えていくような展開は圧巻の一言であった。途中から、様々な生物のイメージが轟音に伴ってプロジェクションされていくのと同時に、耳の高域が次第に失われていくのを実感する事ができた。サウンドシステムの音量も他の出演者と比較し大きかったように思えるのは気のせいなのだろうか。


Left) Takamasa Aoki, Right) NUMB

3作目のアルバムをリリースしたばかりの青木孝允、ラップトップから奏でられるやや不思議なリズムと時折混じる声やサウンドとの組み合わせで、会場にひと時の清涼感をもたらしていたように思える。聞くたびに印象の異なる彼のパフォーマンス、次回も楽しみだ。

最後のNUMB、彼は夜明け前の遅い時間にも関わらず叩きつけるようなビートで空間と人とを揺らしていた。

冷たい雨のためかやや人出が少なかったのが残念ではあったが、訪れた人々にとっては、自作のソフトウェアによるパフォーマンスや、身体そのものに訴えかける音、といった既存の電子音楽の枠にとどまらない様々な可能性を見出すきっかけの一つになったのではないだろうか。

森美術館そのものの開館まではまだ一年弱、今後サウンドやメディア・アート、またそれ以外の分野においても様々な展開がなされる事を期待している。

なお今回のCD「オープン・マインド」に収録された作品は池田亮司のサウンド作品を除き全て、森美術館のオフィシャルサイトからダウンロード可能となっている。今回のライブイベントの参加者に加え、AGE 5&UPによるスクリーンセーバを含むこれらの作品、サウンドに関しては残念ながらMP3圧縮されているためオリジナルとは異なったものとなってしまっているが、彼らに興味を持っているのであれば是非アクセスしてみることをお勧めする。

Open Mind Live Event
日時:2002年12月21日
会場:Roppongi Hills Information Center / THINK ZONE
住所:東京都港区六本木6-2-31 ZONE六本木ビル1F
TEL:03-5770-8824
https://www.moriart.org

Text: Jo Kazuhiro
Photos: Jo Kazuhiro

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