エミリー・カー美術大学 グループ展「アイ・キル・ユー・ウィズ・マイ・カインドネス」

HAPPENINGText: Aya Takada

心に抱いた抱負と共に今年が始まった。昨年以上のことを企み、描いた可能性を形にしようと真上に広がる空を見上げる。広大無辺の風景に立ち向かおうと、つい足取りも力強くなる。新たにスタート地点に立つことは、“今まで” を広い視野で見つめなおし、“これから” を大きな気持ちで見つめさせてくれる。ここでも新年に胸を弾ませる者たちが大きな絵を描き始めていた。

1月9日から13日までの一週間、バンクーバー、グランビル・アイランドに位置するアートスクール、エミリー・カー美術大学のコンコース・ギャラリーで「アイ・キル・ユー・ウィズ・マイ・カインドネス」と題されたグループ展覧会が開催された。

デザイン科のニール・マッククレランドとメディア科のカーティス・バレンタイン・グラワーの呼びかけに同スクールからはニック・ピットマン、モーガン・ワット、リサ・シナー、ジュリア・フェリレー、デイビッド・リーマン、ロバート・ポプスカル、ニーナ・パルマー&フレンド、そしてブリティッシュ・コロンビア大学からルーカス・ジニオティス、トロントからダスティン・ラド、オーストラリアからベン・タイラーが参加した。

コンコースギャラリーはエミリー・カー美術大学の生徒に開放されているスペースで、幅60フィート×30フィート、高さ24フィートと館内で一番広い。ここでそれぞれのアーティストがそれぞれの空間を築き上げ、彼ら自身を表現していた。


Nick Pittman

ニックのインスタレーションはこの空間を最大限に生かしたもので、ギリシャ神話のアテナを思わせる女神像が描かれている。アテナと言えば、知恵・学芸・戦術をつかさどる女神として知られる。その姿をダイナミック、かつフリースタイルに描くことで、ニックの生きるスペースを表現したのかもしれない。自由にクリエイティブに生きる美しさが感じられるペインティングだ。


Curtis Valentine Grahuer

カーティスは巨大な顔を描いた。展覧会のエントランス正面に位置するせいもあり、とても堂々としている。広いギャラリーに比例するかのようにその顔も大きく、恐いもの知らずのグラワー自身を表現しているかのようだ。


Morgan Watt and Niall McCleland

中央二面にはモーガンとニールの作品が海、空を思わせる広々とした空間を築いている。しかしそこに存在する生き物たちは悩ましげで、傷を負っているかのようにも見える。作品全体を眺めるには、少し離れた位置から眺める必要があり、それは抱え込んだもの、直面していることが大きすぎて、なかなか解決策をみることができない状況に似ている。ギャラリーの横にある階段から眺めるのがちょうどよい感じのこの作品はそんなプライベートな空間を大胆に表現しているように思う。

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