エイミー・フランセスチーニ「ハーヴェスト」

THINGSText: Renny Pritikin

サンフランシスコ在住のアーティストは、アーバン・ラスティックスやデジタル・ボヘミアンなどと言われている。1965年~1975年に生まれた、子供でもあるし、ヤングアダルトとも言える彼等は、企業の広告や、それと同時に起こる環境活動などの間に板挟みになっている。良い環境を意図するものと誇張についての、彼等が出した結果的な冷笑は、はかない本当の世界には残ったサルベ-ジでの、ある意味宗教を信じるのに近い、完全に矛盾しているものに繋がっているのだ。このあいまいさは、美しいマリン・ヘッドランズに近いものがあるだろうし、疑わしい陸軍のインスタレーションや、企業が所有する土地に囲まれた分かりにくいサンフランシスコ湾、あるいは今だに畏れられている穴だらけのウォータープロジェクトのネバダ山脈とも言えよう。

この背景の上に重なっているのは、新しい教育を受けた下層階級の一部としての日常生活の精神への影響だ。サンフランシスコのミッション地区とサウス・オブ・マーケットの崩壊部分にあるスタジオで大学の学位を取得している人々は、日雇いの仕事をしながら伝統的な芸術家となるか、最新テクノロジーの農奴として働くのである。インターネットとデジタルグラフィックデザインもその風景の一部であり、成文化もされていないが、常にコオプテーションの危険にさらされており、ある種のクリーンなものとして際立っているエコシステムにの危機に匹敵する人間規模の脅威を提示しているのだ。

文化の価値、そして選択的な清教主義の基本的な面から撤退しようという考えがある。スケートボーダーはかっこいいし、しかも何かを汚染する事もない。浮浪者文化は 出世第一主義を衰退させている。アートは、何でも発言するために白紙委任し、もしそれがTシャツや壁の上であれば取り締まりを受ける事はないのだ。ストリートスタイルは物質主義を打破している。新しい種類の美というもは、破滅の中でありえるものであり、破棄され、再び文脈化されるものなのである。外に踏み出し、新しい中心となるものを発表するのだ。

本書で紹介されているアーティストの作品で見つける事ができる重要な価値には、ユーモア、ちょっぴり生意気だけれでも正直さ、素材へのかなりの謙虚さ、自然と人間の苦痛と共にある共感への需要、しばしば古風かポップ調な情報がベースとなっている、決して華やかではない表現方法への好みが含まれている。オフハンドで皮肉っぽいが、シニカルではないし、無知と言うよりは子供のようなハーフネイティブなのだ。本書には、ペインターや彫刻家がエイミー・フランセスチーニと共有する美的価値があるのだ。

この平年より寒さが厳しい冬の日、フェロスのアーティストとキルガレンさんの思い出と共に火の周りに集まり、私たちは暖を取るのだ。


HARVEST
仕様:Book, CD-ROM, 180 x 260 mm, 176 pages
出版社:Systems Design Limited, Hong Kong

Futurefarmers
住所:1201 Howard Street, San Francisco CA 94103, USA
info@futurefarmers.com
https://www.futurefarmers.com

Text: Renny Pritikin
Translation: Sachiko Kurashina

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