ハイパー・アイランド・クルー 6

PEOPLE

今月のカバーデザインを手掛けてくれたのは、スウェーデン、カールスクーナにあるニューメディア産業やデザインを教える教育機関「ハイパー・アイランド」のクルー6
シフトでも以前からハイパー・アイランドの活動に注目してきた。そして今回、ハイパー・アイランドの創設以来、初の生徒によるエキシビジョンを成功させたクルー6によるカバー&インタビューが実現した。エキシビジョンの模様を交えながら、彼等の過ごした2年間についてお話を伺った。


クルー6のメンバーを紹介してください。

フレデリック・アバーピル。クルー6のメンバー44人の一人です。僕は22才でもともとスウェーデン第2の都市、エーテボリの出身で、ハイパー・アイランドに来る前は自然科学とメディア・コミュニケーションを勉強していたのでテクニカル・バックグランドがあります。ハイパー・アイランドではデーターベーステクニシャン、グラフィック・デザイナー、プロジェクト・マネージャーの役割を担っています。といってもこれからどの分野で仕事をしようか自分でも分かりません。将来はフレキシブルでいたいし、少なくともこの中の二つには関わっていたいと思っています。

クルー6の平均年令は25才で、みんな色々なバックグラウンドを持っています。たいていは高校を卒業してすぐ入学したか、働いてから入学したかのどちらかです。ハイパー・アイランドには世界中から応募がありますが、スウェーデン語を理解して話せることが条件なので、クルー6のメンバーは、ほとんどスウェーデンの各都市出身です。クルー6で学んでいる生徒にはフィンランドとアイルランドから来た人もいますが、もちろん彼らもスウェーデン語が話せます。

「クルー6」とは何を意味するのですか?

みんな混乱してるみたいですが、ハイパー・アイランドでの教育は2年間に及びます。この2年間、生徒は「クルー」と呼ばれる組織に属します。今では7つのクルーが存在して、僕達は6番目のクルーに所属しています。だから「クルー6」なのです。

話が複雑になっているのは、常にこの学校には2つの「クルー」が存在するということで、今日でクルー6が卒業となり、クルー7はあと残り一年勉強するのです。そして夏には、クルー8がハイパー・アイランドでの一年目をスタートさせるのです。

あなた達の学校、ハイパー・アイランドについて教えて下さい。島自体が教育機関になっているのでしょうか?

ハイパー・アイランドは、いつも霧につつまれたミステリアスな牢獄だというウワサがたってるようですね。それは強ちはずれてはいないかも。実際、学校はスウェーデンの南先端、海の近くにあって古い海軍の牢獄を改装したものなのです。寒さと雨が大好きな人間なら最高の場所だと思います。でも結局プロジェクトに縛られ、締切に追われる毎日だったので、天気なんてあまり関係なかったのですが。

しかし教室が独房っぽい作りなのを除けば、ハイパー・アイランドには、牢獄を思わせるような所は一切ありません。ガラス張りの屋根から木の床に太陽の光が降り注いで、明るい室内がさらに明るくなっています。ここの環境全体がクリエイティブで、君たちが一度も見たことのないような学校だというのは断言できます。しかもハイパー・アイランドは自分の個室で使えるコンピューターを貸し出してくれ、一つの個室を二人でシェアして、少なくとも一人一台コンピューターを使っています。

ハイパー・アイランドは、二つのブランチ(デザイン&テクノロジー、ビジネス&マネージメント)を持つ職業教育機関で、デザイン&テクノロジーではグラフィック・デザインやプログラミングなどのクリエイティブプロセスに重点が置かれ、ビジネス&マネージメントでは、プロジェクト・マネージャーやチーム・リーダーとしての役割を身につけます。プロジェクトは常に生徒がミックスされ行われます。ハイパー・アイランドで学んでいる間は研究費が出て、自分で費用を全部持つ必要がありません。

ハイパー・アイランドが他の学校と違う点は、いわゆる先生がいないこと。実際に活躍している人をセミナーに講師として呼ぶのですが、いいやり方だと思います。教育は実践的なことに焦点を当てていて、問題が何であれ、それを解決する方法を教えられます。僕達が企業とのインターンシップを通して学んでいるのもそういった理由の一つです。多くの学校は「何を」するかに取り組むけど、ハイパー・アイランドは「どうやって」するかに重点を置いています。ハイパー・アイランドがデザインだけを教えていると思っているなら、それは間違いです。たしかに学ぶことの一つではあるけれど、ハイパー・アイランドで学ぶことの重要性は集団力学にあります。

実際に一線で活躍している人々を講師として呼び講議が行われるというのは、とてもエキサイティングなことでしょうね。先生達のと関係はどうですか?

例えば、スカンジナビアン・エアライン・システムのリ・デザインについてや、いついかなる状況でアブソルート・ウォッカのコマーシャル制作が進行していったかなどの話を聞くのは贅沢なことだと思います。ニューメディア産業だけでなく、様々な分野で最高の仕事をする企業から人々を迎えています。もちろん先生たちとコンタクトをとっていますし、大抵先生たちは学校に関係するしないにかかわらず、どんな質問にも喜んで答えてくれます。

5月に行われた「ハイパー・アイランド・エキシビション2002」について話してください。

クルー6の生徒は、全員卒業前の最も長くてハードな最終試験プロジェクトの制作をしてきました。ストックホルムでこの5月にこれら20の卒業制作が展示されて、大盛況となりました。ものすごい数のポジティブな反応が得られましたし、クルーができて初めて企画した卒業展だったので、うまく行ってとても誇らしく思います。このエキシビションは学校の助けをほとんど借りずに自分達だけで企画したところが特別なものにしています。

このエキシビションのために結構大きなマーケティング・キャンペーンを行って、ストックホルムの街にはポスターが溢れました。ポスターがあっという間になくなってしまったのは何故かと不思議がってたんだけど、それはストックホルムが優秀な清掃員を抱えていたのと同時に人々がポスターを気に入ってくれて剥がして持っていってしまったということが判明しました。クルー6のロッタ・ラーンがデザインしたポスターとフライヤーのおかげで沢山の人がエキシビションに訪れてくれました。

このイベントを企画し実行した感想は?

ホッとしました。面白いと同時に非常に忙しくてストレスがたまったので。ハイパー・アイランドで行ったどんなプロジェクトよりもこのプロジェクトから多くを学びました。イベントを企画したのは、アサ・ホースタッド、スザンヌ・ワーボン、アンダース・ディーンと僕の4名で残りのクラスメイトと協力して成し遂げました。

今月のカバーデザインですが、どのように進行したのでしょう?

卒業制作とエキシビションの他に時間を裂いて何をしようか考えることができたのは数名でした。アイデアはたくさん出ましたが、僕らが一体どんな感情を表したいのか突き詰めていったことからこの作業は始まりました。まず日本とスカンジナビア(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド)の絆を表現しようと思いました。日本やスカンジナビアの多くの人々やデザイナーは、お互いのデザインや文化に引き付けられているというインプレッションを持っている。少なくとも僕らはそうです。スカンジナビア人っぽい少年と日本の女の子がキスしているイラストが僕達が構築したい物をある程度表現してくれると考えたのです。イラストは、クルー6のミラ・ナメスが描いてくれました。

そしてハイパー・アイランドがグラフィック・デザインに焦点をあてているだけでなく技術的な物も持っているということを見せたかったので、SHIFTの文字と衝突するボールの部分は、クルー6のヨハン.ハルスにコードしてもらいました。

卒業し、これからメディア産業の中でプロフェッショナルとして働くわけですが、これからこの分野を学ぼうとしている生徒たちにアドバイスはありますか?またあなたの将来のビジョンも教えて下さい。

自分自身がどのような人間で一体何をしたいのか明確にする事が大切だと思います(僕自身ハッキリしているとはいえませんが)。達成感を得るカギはフレキシブルになることと、一つだけではなく色々なことに長けることだと思います。それがハイパー・アイランドで過ごした日々を通して学んだことです。できればいろいろ試してみる時間をとって、友だちとプロジェクトを立ち上げ、時間があるかぎり色々試すことだと思います。

現在メディア産業の中で適当な仕事を見つけるのは難しいと思いますが、仕事が自分にあっていると自信があるなら、それを証明できるはずです。怖がることはなにもないと思います。

ニューヨークのメソッド社でインターンシップを6ヵ月過ごした後、スウェーデンに残るかニューヨークで仕事をすべきか分からなくなりました。クラスメイトのヨハン.ハルスとの共同卒業制作で、任天堂ゲームボーイ・アドバンス用のゲームを開発してからは、ビデオ・ゲーム産業にも移ってみたいとも考えています。

SHIFTの読者にメッセージをお願いします。

もう外が明るくなってきました。最近ではこんなことが日常茶飯事です。僕にとってハイパー・アイランドでの勉強は初日から寝不足と沢山のピザとコカ・コーラの日々でした。でも自分で選んだのだから仕方ありません。ハイパー・アイランドで最大限の物を得るためにこの人生を選んだのですから。

僕はあと6時間で卒業、ハイパー・アイランドの生徒じゃなくなります。家に帰って眠れるだけ眠り、そしてこれから訪れる長い一日に備えることにします。

それでは、みなさんお元気で。スウェーデンより愛をこめて。

Hyper Island
住所:Bastionsgatan 14, S-371 32 Karlskrona, Sweden
TEL:+46-455-30 77 77
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http://www.hyperisland.se

Text: Sachiko Kurashina
Translation: Eriko Nakagawa

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