ハイパー・アイランド・クルー 6

PEOPLEText: Sachiko Kurashina

5月に行われたハイパー・アイランド展 2002について話してください。

クルー6の生徒は、全員卒業前の最も長くてハードな最終試験プロジェクトの制作をしてきました。ストックホルムでこの5月にこれら20の卒業制作が展示されて、大盛況となりました。ものすごい数のポジティブな反応が得られましたし、クルーができて初めて企画した卒業展だったので、うまく行ってとても誇らしく思います。この展覧会は学校の助けをほとんど借りずに自分達だけで企画したところが特別なものにしています。

この展覧会のために結構大きなマーケティング・キャンペーンを行って、ストックホルムの街にはポスターが溢れました。ポスターがあっという間になくなってしまったのは何故かと不思議がってたんだけど、それはストックホルムが優秀な清掃員を抱えていたのと同時に人々がポスターを気に入ってくれて剥がして持っていってしまったということが判明しました。クルー6のロッタ・ラーンがデザインしたポスターとフライヤーのおかげで沢山の人が展覧会に訪れてくれました。

このイベントを企画し実行した感想は?

ホッとしました。面白いと同時に非常に忙しくてストレスがたまったので。ハイパー・アイランドで行ったどんなプロジェクトよりもこのプロジェクトから多くを学びました。イベントを企画したのは、アサ・ホースタッド、スザンヌ・ワーボン、アンダース・ディーンと僕の4名で残りのクラスメイトと協力して成し遂げました。

今月のカバーデザインですが、どのように進行したのでしょう?

卒業制作と展覧会の他に時間を裂いて何をしようか考えることができたのは数名でした。アイディアは沢山出ましたが、僕らが一体どんな感情を表したいのか突き詰めていったことからこの作業は始まりました。まず日本とスカンジナビア(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド)の絆を表現しようと思いました。日本やスカンジナビアの多くの人々やデザイナーは、お互いのデザインや文化に引き付けられているというインプレッションを持っている。少なくとも僕らはそうです。スカンジナビア人っぽい少年と日本の女の子がキスしているイラストが僕達が構築したい物をある程度表現してくれると考えたのです。イラストは、クルー6のミラ・ナメスが描いてくれました。

そしてハイパー・アイランドがグラフィック・デザインに焦点をあてているだけでなく技術的な物も持っているということを見せたかったので、SHIFTの文字と衝突するボールの部分は、クルー6のヨハン.ハルスにコードしてもらいました。

卒業し、これからメディア産業の中でプロフェッショナルとして働くわけですが、これからこの分野を学ぼうとしている生徒たちにアドバイスはありますか?またあなたの将来のビジョンも教えて下さい。

自分自身がどのような人間で一体何をしたいのか明確にする事が大切だと思います(僕自身ハッキリしているとはいえませんが)。達成感を得るカギはフレキシブルになることと、一つだけではなく色々なことに長けることだと思います。それがハイパー・アイランドで過ごした日々を通して学んだことです。できればいろいろ試してみる時間をとって、友だちとプロジェクトを立ち上げ、時間があるかぎり色々試すことだと思います。

現在メディア産業の中で適当な仕事を見つけるのは難しいと思いますが、仕事が自分にあっていると自信があるなら、それを証明できるはずです。怖がることはなにもないと思います。

ニューヨークのメソッド社でインターンシップを6ヵ月過ごした後、スウェーデンに残るかニューヨークで仕事をすべきか分からなくなりました。クラスメイトのヨハン.ハルスとの共同卒業制作で、任天堂ゲームボーイ・アドバンス用のゲームを開発してからは、ビデオ・ゲーム産業にも移ってみたいとも考えています。

SHIFTの読者にメッセージをお願いします。

もう外が明るくなってきました。最近ではこんなことが日常茶飯事です。僕にとってハイパー・アイランドでの勉強は初日から寝不足と沢山のピザとコカ・コーラの日々でした。でも自分で選んだのだから仕方ありません。ハイパー・アイランドで最大限の物を得るためにこの人生を選んだのですから。

僕はあと6時間で卒業、ハイパー・アイランドの生徒じゃなくなります。家に帰って眠れるだけ眠り、そしてこれから訪れる長い一日に備えることにします。

それでは、みなさんお元気で。スウェーデンより愛をこめて。

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Text: Sachiko Kurashina
Translation: Eriko Nakagawa

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