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第3回 ブエノスアイレス・ファッション・ウィーク

HAPPENINGText: Gisella Lifchitz

第3回ブエノスアイレス・ファッション・ウィーク(BAFウィーク)が、4月22日から25日にかけて煌めくアルゼンチンの首都で開催された。このファッションイベントは、ルーラル・ソサイエティーの歴史ある建物で開催され、会場は若々しく目新しいデザイナー達の洋服で彩られた棚で埋めつくされた。アシスタント、お客、バイヤー、デザイナー全員がクールでトレンディなファッションという符号を共有した。

足を踏み入れるとまず目を引くのはスクリーンに写し出されたファッションショーのシーン。イベント主催者とスタッフの決断は成功したようだ。このイベントは2001年1月にパンパ・グループがスポンサーとなって誕生した。二人の若き企業家のパートナーシップであるパンパ・グループは45人のデザイナーを参加させた。このイベントの目標は冬の新しいアルゼンチン・トレンドを紹介して「世界に向けたキャットウォーク」を呈することだ。ショールームを用いる事で一般の人とデザイナーの服とに親近感を湧かせた。パンパ・グループのディレクターの一人ピラー・カレガリーは『ブエノス・アイレスをデザイン世界の中心の一つとして位置付けるためにBAFウィークは努力している。』と述べた。


Backstage of Estebecorena Brothers

エステベコレナ・ブラザーズのデザイナー、ザビエル・エステベコレーナは語る。『BAFプロジェクトは我々と供に成長し、我々はパンパ・グループとも大変良い関係を築いてきた。というのも彼らは参加者の意見をよく聴き、アイディアをまとめようと努力してくれるからだ。』

シンプルな「HE」のイニシャルを付けたメンズクローズのデザインを手掛けるこの兄弟は子どものころからデザインをすることに興味を覚え、物をつくったり大工仕事をしたり紙でアート作品をつくったりした。『我々の最大の仕事は新しいものを見つけだして全てを綿密に観察したことだ。』と彼らは言う。彼らは父親の製錬工場で働き、その後自宅の裏に自分達のデザイン室をつくった。


Javier Estebecorena

ブエノス・アイレス大学でテキスタイルを学び、最近では「表現媒体」について教えているザビエルが語ってくれた。『我々はふだん決定されるものとは異なるコンセプトを持っている。コレクションは作らず、一作品ごとに独立したものを開発し、人々の好みに応じてそれを発展させたり消滅させたりする。我々の興味は人間の体の形、人体測定にあるのだ。』

エステベコレナ・ブラザーズは世界進出を狙っている。『我々の服は大都市に住む人々のためにある。二つの半球に向けて暖かな服、そして涼しい服を日々つくり続けている。』

この度のBAFが提供したものは様々で、スタイルの多様性は本来的な素材やテクスチャーの融合を生じ、様々な組合わせを生んで会場にとりどりの風景をかもし出していた。衣服を提案するだけではなく彼らの思想も提案しようとしていたので、多くのデザイナーが大きな賭けをし、彼らの幾人かは大胆すぎる試みをした。ゆえにキャットウォークには無表情な陶器の人形、黒いスーツに身を固め人格をなくした者、きびきびした動きの陳腐なヒーローたち、ゴシック風の細かいマクラメ刺繍が施された現実の国のアリスたちの姿が見受けられた。

一方でヒッピーと古き良き時代のロマンティックな雰囲気を織りまぜたような色使いの作品も発表されたことで、わずかながら幸福感も表現されていた。なかには何の目的も脈略もなく、まるでヴィクトル・ユーゴーの乞食のように舞台を歩き回る狂人たちもいた。これらの徘徊者は時代の貪欲さに飲み込まれたカフカの登場人物のように見えた。

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