ペリスコープ

PEOPLEText: Jerome Lacote

今月の私の熱い視線が向けられたのは、パリだけではなかった。実はオ−ベルニュの火山公園は、クレモント・フェランドという小さな街の中心にあるのだ。ここがアントニー・スクイザットが彼自身のため、そして彼のウェブデザインスタジオ、ペリスコープのために選んだ場所だ。

12時30分、ペリスコープ着。彼らはニューテクノロジー・コンプレックスよりも小さな町の古い地区にあるアパートに身を置くことを望んだ。アントニー・スクイザットはインタビューのために訪れた私を温かく迎えてくれた。

自己紹介をお願いします。

アントニー・スクイザット、26歳です。2人で始めたウェブ・エージェンシーのペリスコープ、創設者の一人です。他に、アニメ、3Dやマーケティング、サーバー構築のためにいろいろな会社を作りました。それから、アールデコとモンドリアンの強い影響を受けた内装のレストラン「ル・レスト」も友達の宿泊用に。
ペリスコープでは、プロダクションの担当とアートディレクターをしています。もう一人の仲間は、財政と経営管理をしてくれています。ペリスコープがウェブエージェンシーになる前は、ウェブデザインやイラスト、タイポグラフィーのレーベルでした。

どのようにして道具としてのITを見い出したのですか?

もともと、ミニテルを多用していたのですが、BBSでのコネクションを通して、アタリでハッカーネットをはじめました。その後、あるグループのグラフィックワークに加わってアミガでのクリエーションのデモンストレーション(コンピュータープログラムされたモーショングラフィックスの小作品)に興味をもったのです。その後は、3Dのアスキーアートと平行して、描画にも力を注ぐようになりました。

何故、ペリスコープという名前なのですか?

ペリスコープは海の底からの視線で、客観的に生活を眺め、新しいアイディアをもたらすものです。私達はそれについて話し合う、というよりはむしろその視点を取り入れようとしているのです。

オーベルニュに拠点を置くのはどうしてですか?

私達のルーツであるオーベルニュの近くにいることで、プロダクションの一員という肩書きの影響を受け過ぎることなく、個人としてのアイデンティティを確立できるからです。ベルンのビューロ・デストラクトやフランコイズ・シャレット、スイスのローサンヌやチューリッヒのとっている姿勢と近いのではないでしょうか。確かにここでの生活の質は首都とは比べ物にはなりません。

現在、どのようなことに取り組んでいますか?

携帯電話のデザインをしたばかりですが、私達の活動の95%はウェブサイトをつくることです。「フォス・ドゥ・ヴォランツ」のウェブサイトや、ショックウェーブやフラッシュのゲームをソニーミュージックやビデオゲームのエディターのために作っています。

目標は何ですか?

まずはもっと面白いプロジェクトをできるように、ペリスコープを発展させることです。それから、もっと商業的要素が少ない、実験的なプロジェクトに専念したいです。私達のアーティスティックなアイディアと経済的現実が見合うように願っています。そうすれば、物事を変えていけるように頑張れるでしょう。

どのようなものからインスピレーションを受けていますか?

ある点では、ファンタジーにインスパイアされています。それと、シュールレアリズムを唱えた人達。「ドリーム・ディーラーズ」でカンディンスキー、モンドリアン、バックレーに歩み寄ることができました。20世紀初頭の絵画、デザイン、建築には、平坦すぎる現代のウェブプロジェクトよりも、感じるところがあります。にもかかわらず、イメージが好きであらゆる雑誌を買います。

実在のウェブデザイン・シーンをどう思いますか?

ウェブは誰の所有物でもないと思うのです。でも、一般的にはナイキのシューズのように沢山消費されてトレンディーにしたいと思っている大きなレーベル(K10K、LINKDUPなど)に属するようなものになっています。彼等には才能はあると思いますが、右へ習えで彼らのスタイルに流される傾向には困ったものです。

ウェブの未来については?

3Dで、トータルな熱意を持ち、新しい音の使い方をしつつ、より多くの感情を分ちあえるようなサイトが出現することを信じています。

日本についてはどう思いますか?

まず、日本のビデオゲームにはハマっています。だから、日本のビデオゲームにおいての功績には本当に感謝しています。それから、日本のものだけではなくヨーロッパの現代のクリエーションを理解し支えていることにも頭が下がります。奇をてらわずにここまでやってきた、日本のグラフィック・カルチャーは大好きです。

15時。アントニーがブラッスリー「ル・サフラン」のテラスでクロックムッシュを食べに連れていってくれる。
16時30分。マウンテンバイクで、ペリスコープ・フジヤマ(ピュイ・ドゥ・ドーム?)の辺りを走った。

Text: Jerome Lacote
Translation: Naoko Ikeno

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