ノマドアンチノマド展

HAPPENING


コマーシャル・グローバライゼーションは社会活動家や無政府主義者の間でのキーワードだが、航空業という商売によって活動家達は、大陸から大陸へと渡って国際的な貿易会議で異論を唱えるという、かつてはできなかったことが可能になった。

7月28日までブダペスト・クノル・ギャラリーで開催されるアートショーは、見せかけではないグロ−バライゼーションを示している。しかし、物やサービスの流通に関する恐れ無しに自由貿易を受け入れる新しいインターナショナリズムの考え方の影響から目を背けるのは容易なことではない。

このショーは、ある作品−クロアチアのアーティスト、マルデン・スティリノビックによるバナーにちなんで「英語を話せないアーティストは、アーティストではない」と皮肉を込めて名付けられた。そのバナーは飾り立てられたこのスローガンに非常に近い何かを持っている。もちろん、スローガンは英語。コンセプチュアル・アートに対する自問がここにある。

エキシビションでは主に、以前共産主義をとっていた国からのアーティストが言語や外国人意識、インターナショナリズムに関する、パワフルで感慨深いものを出品している。ナショナルアイデンティティの指す意味は何か?アートの国際言語は何語なのか?英語?それとも世界中のアートキュレーター、アーティスト、アートバイヤーによって分かち合われる何かが、英語の他に存在するのだろうか?

東ドイツではすでに、これからエストニアのタリン、チェコのプラハでも開催されるこのエキシビションのための出展作品が準備されている。

ブルガリア出身のルチャザール・ボヤディジェフは、写真、手紙、そしてアートギャラリーを周ったり、インスタレーションを観たり、アートスタディーを体験したりする1年間の旅行許可証を貼りつけて、壁になるぐらい大きな作品を仕上げた。彼自身の等身大の写真は、重ねて展示されたブルガリアの両替所の格子の後ろで、やや孤独に立っている。

エストニアのカイ・カルジョはお互いの言語を理解できない人達(ロシア人に話し掛けるエストニア人、イタリア人に話し掛けるロシア人)が関わっていかなくてはいけないというストーリーでビデオを作った。これは、イギリス人の子供達の中で囁く中国人というゲームの拡大版といえる。雲母とウィーンの挑発者といった感じを与えるデュオ、アレクサンダー・ブレーナーとバーバラ・シュルツは、国際的システムの言語としての英語を批判し、システムに対抗するグローバルな団体を組織する際に必要とされる言語としては賞賛するというスローガンを掲げ、明るい色のクレヨンで描かれたにぎやかな絵を出品している。

シリア人とハンガリア人のダブルのローザ・エルハッッサンと、彼女の仲間であるセルビア人のミリカ・トミックは、最近ウィーンで発表されたポスターに載せた、アイデンティティと頂点に達している人口過剰を思わせる写真シリーズを展示した。

ABUSTERS.ORG でこれまで広く知られてきた、エル・ハッサンとトミック(トミックはユーゴスラビアのゲリラ兵のユニフォームを着ている)は、オーストラリアで勢いのある右翼の政治家、ハイダーの実在するポスターの中に自分達の姿をデジタル処理で入れてしまった。幸せそうに彼のポルシェの狭い助手席に身体を収めている。ハイダー氏の車中を人口過密にしたこの画像処理の結果は、ウィーンギャラリーの壁に展示されていて誰でも見ることができる。この作品のために2人が設定したスローガンは、「人口過剰について考える。」である。

そう、そのスローガンは英語である。

しかし一方で「西」(どこで西が始まろうと)に移住した遊牧民の東ヨーロッパ、スロバキアのアーティストはクノールショーでは彼自身に対して冷静に反応している、と右翼のオーストラリア人は思っているかもしれない。ロマン・オンダックに撮影された普通のスロバキア人の姿が、普通の値段(米通貨で各20セント以下)で売られている普通のポストカードがある。彼らの多くは、共産主義時代からの質素ではあるが快適そうなアパートで被写体になっている。オンダックはたいへん静かな情景を写し出しつつ、自分の名前はカードに載せていない。全て「アンチ・ノマド(反・遊牧民)」と名付けられている。スロバキア人は、それぞれに思慮深く、落ち着いていて、どこにも行きそうにない。ウィーンへ行ってハイダーのポルシェに乗り、定員オーバーのお手伝いをするなどするようにはとても見えない。

もちろんポストカードは、世界中どこへでも宛先通りに旅をすることができるのだが。

Budapest’s Knoll Gallery
住所:Liszt Ferenc ter 10, 1st floor, 1061
TEL:267 3842
knollgaleria@elender.hu

Text: Mark Griffith From Live Budapest
Translation: Naoko Ikeno

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