マイローナ

PEOPLE


MYRORNA」は、 スウェーデン救世軍(貧困に苦しむ人々を救済するために活動しているキリスト教の組織)のセカンドハンドショップ。スウェーデン語で、「蟻」という名前を持つこのショップは近年そのビジネスの規模を拡大している。現在スウェーデン国内に古着受け取りのための1200の私書箱と27の支店を持ち、古着の他にも家具やテーブルウェアをはじめとするインテリア商品や古本なども扱っている。その収益はスウェーデン救世軍の活動資金として、人々の救済に役立てられている。

目下、この福祉事業は無数に存在する他機関と特にこれといった違いは無い。しかし、「MYRORNA」のマーケット部門マネージャーのラス・ベイジャーは、より若い世代との新しいコミュニケーションを提唱し、スウェーデンの広告代理店「LOWE LINTAS」と提携して新しいマーケティング戦略を打ち出した。このコンセプトは、スタイリングやアートワークをいかにして有益なマーケティングの手段として利用するかという点において良いお手本になっている。

「1998年、ストックホルムにおける自分達の周りには黒と灰色しか目に入るものは無かった。」と「LOWE LINTAS」のマーティンは言う。「私たちは、そんなつまらない洋服に反発し、“PERSONLIGARE (より個性的)”という考え方を提案したのです。」「そのアイディアは、私たちのコンセプトにぴったりと合致しました。」とベイジャーは説明している。「私たちは、中古で、バラエティに富んだ商品をもってスウェーデンの若くてトレンドに敏感な世代をターゲットにする必要があったのです。」

では、外見にお金をかける事を好む若い世代を、どのようにして惹き付けたのであろうか。答えは簡単である。若くて才能のあるデザイナー、カメラマン、スタイリストを使い、古着を組み合わせて作り出したデザインを発表するファッションショーを開催するというのが彼等の取った方法だ。

「私たちのコンセプトの鍵である“より個性的”という言葉を低予算で実現させるという目的で、ジャーナリストやスタイリスト、写真家やデザイナーといった人達を2次的なターゲットに設定しました。」

MYRORNAは、この考えを成功させるため、この3年間に エルンスト・ビルグレン、KIA NADDERMIER、ルヴィサ・バーフィット、ヨハン・シャリンら数々の有名アーティストやデザイナーと契約を結び、モデルの肌の露出を高めセクシーな印象を与えるやや挑発的なフライヤーも作った。

「あるショーを“オートクチュール”と名付け、アーティストに1人1点ずつ面白い作品を作らせました。」とベイジャーは続ける。こうして私たちのショップで手に入る商品をどのように着るかということを見せたのです。誰でもここへ来てここでしか手に入らない洋服で自分だけの着こなしを創り出す事ができるのです。古着は普通の店やデザイナークローズの大きなのチェーンでは手に入らないのですから。そしてもちろん、新しい洋服と組み合わせて楽しむ事も出来ますしね。」

MYRORNAは、ジャーナリストの有志グループからのたくさんのプレスも獲得した。彼等の組織活動コンセプトが、ジャーナリストたちの考える新しい社会福祉に対する考え方と見事に合致したのである。これまですべてのファッションショーは満席。ストックホルム南部にある美しいマリアマグダレナ教会を舞台にショーを開催した事もある。MYRORNAは、この新しい戦略の結果としておよそ73%の洋服売り上げ増を記録している。残念ながら次のファッションショーに向けての計画は明らかにしてくれてはいない。

「アイディアは秘密にしておいて次の企画をあっと驚くものにしなくては。新しいアイディアは私たちのマーケティング戦略の最も重要な部分ですから。」とマーティンは説明する。

「低予算ということで新しい方法をいろいろと考えなければなりませんでした。」と言うベイジャー。「例えば、新しいファッションマネージャーを起用してスタッフを教育しました。だから彼等はトレンディな洋服を選びだしたり的確に評価する事ができるのです。」

1865年に救世軍が始まった時には、この組織は教会活動において現在とは異なる“挑発的”で若々しいマーケティング方針を展開していた。「WHY SHOULD ONLY THE DEVIL PLAY THE BEST MUSIC? (どうして悪魔だけがベストな音楽を演奏すると言えるのか)」というスローガンの下、最も人気のあるミュージカル音楽やパブでよく歌われていた歌からメロディーを“盗み”だし独自の歌詞をつけたのだ。

「メロディーを借用して活動していた歴史と今日私たちが古着を扱っている事に関係があるかどうかは分かりませんが、共通しているのはどちらの活動も教会に対する人々の意識を惹き付けるために効率的かつ面白い方法で企画されたという点です。そしてなによりどちらもうまく行っているという事です。」

Text: Andreas Pihlstrom and Nanok Bie from NJIN Theory
Translation: Naoko Ikeno

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