ムーブメント

HAPPENING

「心の動き・体の動き・周囲の環境/物事の変化・それらを結びつける装置・現代の動向これらの関係性を探る実験」と銘打った企画展「MOVEMENT」。GASBOOK、スタジオボイスと連動したメディアを横断する企画として、今年1月のオープン以降今最も注目を集めている複合文化施設、せんだいメディアテークで4月29日から5月13日まで開催され、会期中お年寄りから子供づれの親子まで、幅広い客層の1万人もの来場者が集まった。


新しいテクノロジーは、新しい世代のクリエイターに作品製作の幅を大きく広げました。その結果、アート、グラフィックデザイン、映像メディア、ファッション、プロダクトデザインなど、クリエイティブの分野の垣根は取り払われ、様々な分野を横断するクリエイターが多数現れるようになりました。 MOVEMENT では、東京、ロンドン、パリ、オランダのグラフィックデザイン、グラフィックアートを伝える展覧会であるとともに、作品と、人との関係性を考える新しいデザインの実験の場。という二つの意味を持ち合わせています。新しい作品を見る為の環境をデザインする事で、空間、空気そのものから、新しいデザイン、アートの息吹きを感じられるような展覧会を目指しました。

メイン会場となった6階では会場の外光を遮り、暗闇の空間を作りだしました。人が存在する、動く事によって通路の裸電球に明かりがともり、会場を見渡す事が出来ます。部屋ごとに分けられた様々なコンセプトの装置、センサーが人の動作に反応して、合計で25台のプロジェクターが、映像作品、平面作品、インタラクティブ作品を映写しました。ただ、見るだけでなく、身体全体を使って、作品と触れあう展覧会になりました。製作側の人間として正確なレポートには、ならないかもしれませんが、感じた事、目指した事などを書いてみます。

6Fメインフロア(通路)/広大なメインギャラリーの空間の外光をすべて遮り、暗闇の空間を作りだした。会場スペースには、いたる所にセンサーが設置されており、会場内の通路を歩くとセンサーが察知して、頭上の明かりがゆるやかにともる。その場を離れると電球はゆっくりと消えていく。


展示映像作品コントリビューター:SIMON OWENS@TOMATO/ SHYNOLA/ GILLES POPLIN/ H5/ SIMPACT/ STATE / POWER GRAPHIXX/ RUN WRAKE/ DEPT/ RICHARD FENWICK

ROOM-1/壁面には、何も映っていないテレビが映写されている。テレビのチャンネル位置の壁には実際のダイヤル式チャンネルが。チャンネルを回すとテレビに映し出される作品が変わる。空間にはベンチが1脚。
ROOM6の部屋の様子を壁にプロジェクターで映写する。あたかも、ROOM1の奥に、ROOM6があるように。壁のチャンネルを回すと、ROOM6に実際にあるTVに映し出されている映像が変わります。実際の会場では、ROOM1と、ROOM6を走って往復する人が続出。バ-チャルな感触とアナログの感触との融合。そして“遊び”を大事にした実験。


展示インタラクティブ作品 コントリビューター:MONO*CRAFT

ROOM-2/動くと絵も動く。
部屋中にはりめぐらされたセンサーが、人が部屋のどこにいるかを感知する。人の動きに合わせて床に映写されている絵がゆれ動く。絵は時間が経過すると変化する。ここでは、人の存在がマウスのかわりになる。WEBで多くみられるインタラクティブデザインを空間に応用した実験。


展示平面作品 コントリビューター:井口弘史/ 稲葉英樹/ 川元陽子/ 明鏡止水/ JOP VAN BENNEKOM/ TOM HINGSTON/ KAM TANG/ DELTA

ROOM-3/天井から紐が下がっている。紐を引くと、空間全体のイメージががらりと変わる。
8本の紐が会場のまん中につり下げられている。一本の紐に一人のクリエイターの作品が複数用意されている。紐を電気スタンドのようにカチリと引っ張ると、空間全体にプロジェクターでイメージが映し出される。カチリ、カチリと次々と紐を引っ張ると、部屋のイメージが壁紙を変えるように変わり続けていく。空間とビジュアルイメージとを連動させた実験。


展示映像作品コントリビューター:SHYNOLA/ SHING02/ SIMON OWENS@TOMATO/ RICHARD FENWICK/ 3POINTS/ POWER GRAPHIXX/ RUN WRAKE/ ALEX RICH

ROOM-4/机が1台。その上にアンティークの本が一冊。ページを開く。挿し絵と同じ作品が壁面に映写。
本の挿し絵にイマジネーションが働き、頭の中で映像化される事がある。ここでは、実際に開いたページのイメージが映像となって部屋に流れる。本、紙というメディアとデジタルとの融合実験。


展示映像作品コントリビューター:DELAWARE

ROOM-5/天井からヘッドフォンが1つ、グラスビジョンが1つ吊るされている。ヘッドフォンを装着すると作品に関連する音が流れる。グラスビジョンを装着すると壁面に映像が映写される。しかし、ヘッドフォンからは15秒前の音が流れる。
15秒前の自分と一緒に作品を見ることになる。時間と作品と空間を融合させる実験。
#最後まで完成にてこづり、完成する前に、センサーが壊れてしまい(壊された?)常に映像が流れていて、グラスビジョンと、ヘッドフォンをはめると、過去の空間にアクセスするという形になりました。残念。

ROOM-6/古いダイアル式TVが一台置いてある。チャンネルのある所には、チャンネルが無い。チャンネルを回してないのに、画面が変わっていく。
ROOM1で選択された映像作品がTVに流れる。この場の様子は、ROOM 1に映される。


E展示インタラクティブ作品コンストリビューター:TOMATO INTERACTIVE

ROOM-7/壁に絵が映写された空間。足音に反応して絵が動く。
音に反応するTOMATO INTERACTIVEの作品を設置。部屋に入る足音で絵がまず動く。大きく足を踏みならし。手をたたく。日常的な空間において、必然的に発生する音と、空間、そしてビジュアルとの融合の実験。常に、お客さんの足を踏みならす音、手をたたく音が響いていた。


展示映像作品コントリビューター(共同製作):生意気/生西康典/掛川康典/KUKNACKE

ROOM-8/壁面にのぞき穴が。穴の中には、小さな液晶画面に作品が映し出されている。穴をのぞいた瞬間に、センサーが感知して後ろの壁に大きく別の作品が映写される。穴から目を話して、後ろの作品を見ると、穴の中の作品が変わっている。また覗くと、別の作品が背面に映写される。
両方合わせて約40ほどの作品が、覗くという行為を通して、入れ代わりに流れる。覗くという行為と、ハプニング、ビジュアルと音による実験。


展示インタラクティブ作品コンストリビューター:LIA

ROOM-9/ステッキが床に置いてある。ステッキを動かすと壁の絵も動く。
ステッキからレーザーが出る。レーザーの光りを感知して壁の絵が動く。マウスの変わりにステッキを応用したインタラクティブデザインの実験。


展示平面作品コンストリビューター:75B/ NORTH/ 3POINTS/ ZEDZ/ DEPT/ EXPERIMENTAL JETSET/ TONY HUNG (ADJECTIVE NOUN)/ YORGO TLOUPAS/ 75B/ LOOK BOAD/ LANRENT BENNER

ROOM-10/壁面に向かって椅子が並んでいる。椅子に腰をかけると、作品が前の壁面に映写される。立ち去ると、作品は消える。
椅子一つに対して1人のクリエイターの作品が複数(10~100作品)割り当てられている。本来、ゆったりと座る為の椅子が、一つのコントロールスイッチに変化する。椅子に取り付けてある圧力センサが、人の重さを感知する。その体重に合わせて、平面作品が次々と映写される。

5F SUB FLOOR/メイン会場から階段をおりると、5Fのサブフロアに出る。
6Fの展示方法と異なり、寄稿作家の作りだしたアルバムジャケットや、ポスター、アートワークなど、様々なデザインプロダクトを多数展示した。展示方法は、GASBOOK10のデラックス版のパッケージのイメージと合わせた。生地の布をテーブルシートにして、その上に作品を並べ、細い赤い糸で作品をきれいに縛た。作品を盗まれないようにする為と、作品の破損を防ぐ為に考えられたとても素敵なアイデアだったと思う。まるでガリバ-旅行記で、小人がガリバーを糸で縛ったような感じだった。

1F/祝日、週末には1Fの大プロジェクターを使って、街を行く人、外に向かってMOVEMENTの映像作品を流した。

MOVEMENT展は、GASBOOK10と、スタジオボイス2001年6月号「POETIC HORIZONS」と連動した企画としてスタートしました。展覧会の目的は、10年前まではとても遠い存在だったロボットテクノロジーや、通信技術、様々なSF的なテクノロジーが、ものすごく自分に近い所まで降りてきている事から、ここ10年ほとんど変わらなかった、新しいライフスタイル、ビジョン、新しいデザインの可能性を探れるのではないかと思いました。家にあるのが、TVとソファーと、コンピューターと、本棚、などという決まりきった環境に少々飽きてきていて。例えば、最近のPS2にしても、コンピューターにしても、輸出規制がかかるほど、ハイテクで、軍事利用できてしまうらしいじゃないですか。そんなハイテクなのに、使うのが、モニタ-上でやれる事にかぎられているのは、もったいないと思い、とりあえず、コンピューターや、センサ-類などのテクノロジーと、プロダクトデザインを融合して新しい空間を生み出したかった。そこでは、グラフィックはまた新しい一面をもって、生活にとけ込む。身体感覚に、PIPIっとくるデザイン、グラフィック。

グラフィックがここまで進化してきているのに、その受け皿がたいして進化しないのは、おかしいでしょう。DVDでもまだ、TVモニターで見ている事を考えると、30年間進化していないと思う。大事なのは、どうやって、身体にグラフィックが、デザインが触れるか。だから。

そんな不満と、ぐつぐつしたビジョンのかけらを頼りに、今度の展覧会を考え、運良く、コンテンポラリーデザインのディストリビューターであり、自身も空間や、プロダクトのデザイナーでもあるトリコの佐伯仁さん(エアンコンデションドのメンバーとしてハプニング展も手掛けている)と、様々なデジタル装置を開発しているデバイスアーティストのクワクボリョウタさんに会いました。コンセプトと、空間デザインを佐伯さんに、システムデザインをクワクボさんにお願いしました。展覧会の名前、 MOVEMENT も佐伯さんの命名です。そして、こんなコンセプトにまとまりました。

MOVEMENT

人が動くと、それに反応して周囲の環境・物事が動き出す。
動き出した周囲の環境/物事に反応して、人が動く。

じっとしていても何も起きない。

心の動き、体の動き、周囲の環境・物事の変化、それらを結び付ける装置。現代の動向、これらの関係性を探る実験。

東京、ヨーロッパのクリエイターに会いにゆき、その場でアートワークを真っ白い束見本に落としてもらい、でき上がった本や、紀行の様子はスタジオボイスに掲載されたりと、実際に動いた結果が、様々なメディアに落ちて、それぞれが動き出す。そして、最後に展覧会に行き着く。そんなプロジェクトになりました。

結果的に入場無料という事もあって、子供からおじいさんまで、いろいろな人達がきてくれました。各部屋、コンセプトの説明などを、子供に諭すように文章で伝えなくても、自分でデザインを発見して、すごく楽しんでいました。誰かが発見すると、その周囲の人も動かされたりと、どんどん面白さが広がっていって、僕自身、人が走り回っている展覧会や、うきうき笑っている人がこんなにいる展覧会は始めてでした。
こちらが、こう反応して欲しい。と願っている通りに、反応してくれている様を見るのは、ほんとうにうれしい事です。
反対に興味がわかず、動かなかった人には、こんなにつまらない展覧会も始めてだった事でしょう。

一番、残念だったのは、会期初日に全てのフロアが完成しなかった事と、会期中、装置が壊れても、メンテナンスがうまく進まなかった事です。

こんなコンセプトの展覧会だから、一度で終わるわけではなく、続けていく事でビジョンは形になっていくと考えています。実際に体験してもらわないと、なかなか伝わらないと思うのだけど、たくさんの問題点がクリアされれば、来年のゴールデンウィークに、またメディアテークで MOVEMENT展 を開催出来るし、巡回先も探しているので、来てくれなかった人もぜひ、いつかは体験しにきてください。

MOVEMENT
会期:2001年4月29日~5月13日
会場:せんだいメディアテーク
住所:仙台市青葉区春日町2-1

Text and Photos: Akira Natsume

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