シンイチロウ・アラカワ

PEOPLEText: Takuya Minee

1989年に単身渡仏し、93年にパリコレに初参加、以降ホンダやジェニーとのコラボレーションなど、毎年斬新なアイディアとアプローチでコレクションに取り組むシンイチロウ・アラカワ

今年3月にパリで開催されたコレクションでは、 壁に掛けられた絵のカタチをした着用可能な服というインスタレーションを発表。国内外で話題となったこのコレクションが、日本でも開催され、ヨーロッパのギャラリーを巡回する。


2000 A/W PARIS COLLECTION

今回のコレクションについて聞かせてください。

従来のウォーキングでショーをするというのは、自分の中で現実離れしちゃっている部分があって、実際ああいうキャットウォークで道を歩いてる人というのは、いないわけだし。それで実際に着る人とのコミュニケーションがとれるような形式にして行きたいというのがまずありました。


2000 A/W PARIS COLLECTION

服のコンセプト自体は、絵のような形になっていて、洋服としてちゃんと着れる、というものなんですが、その服自体はすごくシンプルなもので、普通のシャツであったり、ジーパンの形をしてたり、いわゆる日常のアイテムを選んで、それを絵のような形にして、逆に複雑な形で見せることによって、実際に普段着ている洋服への見直しというか、普通の何でもないシャツ一つでも洋服が持っているコミュニケーション、みたいなものを、自身でもう一度考えてみたいというのがありました。

実際こういった服を見た時にその人がどう思うかということを、今まで重要に考えてきたんですが、それが作り側と相手とのコミュニケーションであり、自分自身のコミュニケーションであるということだと思います。

コミュニケーションの部分以外には、アートとファッションの接点みたいな意識はあるのでしょうか?

自分が思うアートというのは、もっとピュアな部分にあって、自分がやっているのは、作って、それを製品化して、販売するという、ビジネスなので、全然アートじゃないと思っています。これは服として完成してしまったらそれで終わっている。その先自分で追求して行くものという感覚はないので、やはりアートというにはおこがましいと思っています。


HONDA SHOW © SHINICHIRO ARAKAWA

アラカワさんの活動で、ホンダやジェニーなど様々なコラボレーションがありますが、意識的にされているのでしょうか?

コラボレーションというのは、あまり意識的ではないのですが、服以外の興味が沢山あるので、一つの枠組みの中に入り込まないで、可能性があるいろんな部分での文化的なコラボレーションをしたいと思っています。

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