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キース・へリング 回顧展

HAPPENINGText: Mariko Takei

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© Keith Haring

5月30日午後10時、サンフランシスコ近代美術館 (SFMOMA) の入り口へと続く人の列。列に並ぶクラブキッズ、カップル、スーツ着用の小洒落た男女…と、様々な顔触れをみせているのは5月8日から始まったキース・ヘリング回顧展が通常では閉館している時間に見れるというだけではない。「POP」と名付けられたそのセレブレーションイベントではキース・ヘリングの作品展示の他、ゲーム映像をともなったハウスとドラムンベースの2つのクラブシーンを展開させ、会場となったSFMOMAは80年代もしくは90年初頭の巨大クラブさながらの様相を呈していた。

その巨大クラブの入り口でサイバーテロリスト「etoy」による IDチェックを済ませ、最初に足を踏み込む場所はハウスミュージックの鳴り響くメインロビー。吹き抜けのフロアにズンズンと響くハウスのリズムにはちょっとゲンナリ…。そのロビーの横にある、人垣を掻き分けてやっとたどり着く小部屋ではドラムンベースのリズムが拡がり、DJのスピンするリズムにのって踊っている人々の傍らではネットサーフィンに耽る妙に落ち着いた人々がモニターとにらめっこしている。不思議な光景である。

こうなるとキースヘリングの回顧展は??といった状態だが、サウンドとビジュアルに包まれ、アルコールのはいったグラスを手にした人々らで賑うダンスフロアから4階はなれた場所でひっそりと、下階での雰囲気に呑まれた人々がむやみに作品に触れないようチェックする監視員に見守られつつ故ヘリング氏の落書きを含むドローイング、ペインティング、彫刻作品からニューヨークの電光ビルボードのビデオインスタレーションと様々な作品が展示されていた。ポップ、ハイテク、ローテク。POPばやりの今を具現するかのようにアート、パフォーマンス、DJ、フィルムをフィーチャーしたイベントは夜中3時まで続いたようだ。

キースへリング回顧展
会期:1998年5月8日(金)〜9月8日(火)
会場:サンフランシスコ近代美術館 (SFMOMA)
住所:151 Third Street, San Francisco, CA 94103
TEL:+415 357 4000
https://www.sfmoma.org

Text: Mariko Takei

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