六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠
HAPPENINGText: Alma Reyes
最後の視点「生命のリズム」は、世界のあらゆる存在が独自の生命のリズムを刻むことで「時間」が流れていることを表現した作品を紹介。時間は、誕生から死、始まりから終わりといった直線的な軌跡に必ずしも支配されない、生命の多次元的な動きを強調する。むしろ時間は複数の尺度を横断して流れ、喪失と衰退を蘇らせ、再生の灯を再び燃え上がらせる。

シュシ・スライマン《瓦ランドスカップ》2023年 展示風景:「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」森美術館(東京)2025-2026年 Photo: Alma Reyes
シュシ・スライマンは、マレーシア人アーティストでありながら、長年にわたり広島県尾道市で土地の歴史やコミュニティに根差した活動を続けている。尾道の廃屋から回収した1,500枚以上の屋根瓦を用いた壁一面の巨大インスタレーション《瓦ランドスカップ》(2023年)は、瓦を媒介として、尾道の過去と現在、かつての居住者と作家自身を結ぶ。作品にはマレー語の詩的テキストが添えられており、芸術と回想録を修復と公共の共感と効果的に結びつけている。

ズガ・コーサクとクリ・エイト《地下鉄出口 1a》2025年 展示風景:「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」森美術館(東京) Photo: Alma Reyes
段ボールや水彩絵具という素材を使って六本木駅の出入口を再現する、岸川のぞむと岡本和喜のチーム、ズガ・コーサクとクリ・エイトが制作した「地下鉄出口」(2025年)は、昼と夜の駅の雰囲気を描いた二つのバージョンで構成され、恒久的な保存を前提としない制作プロセスによって、消えゆく時間の本質を表現する。展覧会最終日にこの作品が解体される際には、鑑賞者は作品のパーツを持ち帰ることができる。
現代人は、強力なデジタル技術によって急速に加速する、絶え間ないスピードの複雑な生活を送っている。情報の圧倒的な拡散は、戦争、暴力、人種差別、経済格差、人権問題といった断片的な情報で私たちの視野を曇らせ、それらは今もなお私たちの日常を支配し、付きまとう。現在の社会政治的葛藤や避けがたいSNSの喧騒の中で、私たちは時間の存在が持つ最も重要な本質を見失いがちだ。しかし芸術は、私たちの心と感情に一時停止を促し、自分自身や他者、そして自然や周囲の環境のために時間を再評価させ、他者との共感と不可欠な対話を再生させる触媒となる。
六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠
会期:2025年12月3日(水)~2026年3月29日(日)
開館時間:10:00~22:00(火曜日17:00まで)
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.mori.art.museum
Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado





