六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠

HAPPENINGText: Alma Reyes

続いて二つ目の視点「時間を感じる」では、時計で測られる一律な時間ではなく、多様な時間の存在を感じさせる作品を紹介する。

建築、デザインの領域を越え、国際的に高い注目を集める村上あずさとアレキサンダー・グローブスによるユニット、A.A.Murakamiの《水中の月》(2025年)は、AIが記述したオペレーティングシステムによって機能する、シャボン玉を用いた大型の没入型インスタレーション。木のような彫刻から泡が落ち、水面で跳ね、転がり、そして弾け、消える。霧や光といった流動的な要素を用いたこの光景は、時間とともに変化する優美で、繊細な瞬間を捉えている。


A.A.Murakami《水中の月》2025年 制作協力:アンソロピック 展示風景:「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」森美術館(東京)2025-2026年 Photo: Naoki Takehisa

ベルリンを拠点とする和田礼治郎の立体作品《MITTAG》(2025年)では、「永遠と刹那」「無限と有限」といった時間概念を探求。真鍮の枠に固定された2枚のガラス板の間にブランデーが封入されている。台座は樹齢60年以上のブドウの木の枯れ木を鋳造したブロンズ製。液体・真鍮・青銅・木材、そしてブランデーの醸造・蒸留工程が融合し、永遠と儚さを同時に放つ。ブランデーによってガラスはレンズのように機能し、都市景観を覗き込む。光の屈折で歪んだスカイラインは褐色の輝きを放つ。


和田礼治郎《MITTAG》2025年 展示風景:「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」森美術館(東京)2025-2026年 Photo: Alma Reyes

第三の視点「ともにある時間」では、歴史的な時間がいかに現在において持続するか、また、相互理解が協働プロセスをとおしていかに生まれるかを示す作品を紹介。

宮田明日鹿は、多様な人々が編み物や刺繍を実践しながら人生経験、記憶、技能を共有するコミュニティを形成し、「アクティブ・アーカイブ」として機能させる。また、アメフラシは、草鞋や箒づくりなどの、地域の歴史や文化を保存し、新たな意味を付与する取り組みを、時間をかけて行っている。ひがれおは、主に女性によって生産された土産物である琉球人形を通して、沖縄の複雑な歴史や文化がどのように受け継がれてきたかを省察する。


北澤 潤《フラジャイル・ギフト:隼の凧》2024年 展示風景: 「ARTJOG 2024」ジョグジャ国立美術館(インドネシア、ジョグジャカルタ) Photo: Aditya Putra Nurfaizi

インドネシアを拠点とする北澤潤は、日本軍がジャワ侵攻で使用した戦闘機「隼(はやぶさ)」を、その後インドネシア軍が独立戦争で再利用したという事実に着想を得て、隼をインドネシアの凧職人の手で蘇らせるプロジェクトで、両国をつなぐ戦争の痕跡を、そこに関わる人々の記憶や手仕事を通してダイナミックに描き出す。過去・現在・未来を繋ぐプロジェクトを通じて多様な社会と彼を結びつける。

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