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ART OSAKA 2025

HAPPENINGText: Sébastien Raineri

Expandedセクションは、中之島の洗練されたクラシックな雰囲気とは対照的な、北加賀屋にあるクリエイティブセンター大阪で開催。かつては造船所であったこの洞窟のような広大な空間では、19組のアーティストとコレクティブが、天井高5.5メートル、床面積1,200平方メートルの広大な敷地を生かした大規模でサイトスペシフィックなインスタレーションやパフォーマンス作品、最先端のメディアアートが展開。知覚、物質、経験の境界を拡張するアーティストを紹介する。


オノ・ヨーコ《FLY》1963/2025年 Photo: Yuto Yamamoto, Courtesy of ART OSAKA

ハイライトは、伝説的なアヴァンギャルド・アーティスト、オノ・ヨーコによるアイコニックな作品《FLY》(1963/2025年)。高くそびえ立つ天井の下には3つのはしごがあり、来場者は自分の内省や願望に向かって比喩的に登っていくように誘われる。その近くには、オノの長年の参加型アートの伝統を反映した持ち帰り用のメッセージステーションがあり、壮大なジェスチャーのために作られた環境の中で、親密な知恵の断片を提供する。


伊藤航《Control》2024年 Courtesy of GALLERY KOGURE

中でも特に目を引くインスタレーションの一つが、伊藤航による紙の彫刻作品だ。まるで有機的な花が洞窟のような空間に広がり、日常的な素材を詩的な増殖へと変容させる。伊藤は、精巧にカットされた紙を用いて、畏敬の念と静かな思索を誘う、宙に浮いた生態系を創り出している。

パフォーマンスとムービング・イメージも中心的な役割を担っている。日本のビデオアートのベテランである河合政之は、アナログ・ビデオのフィードバック・ループで空間をアニメートした、光と音の生きた呼吸システムになるオーディオビジュアル・パフォーマンス《三元素》(2024年)を発表。河合の重層的なビジュアルは、アンビエントな建築と相互作用し、サイケデリックで、スピリチュアルなテクノロジーとの出会いを生み出す。


下田悠太《FUGU》2023年 Courtesy of biscuit gallery + AWASE gallery

その他の魅力的な作品には、災害や喪失に脅かされるもろい家庭の風景を想起させる白い布に黒い糸で繊細な刺繍を施したユ・ソラの作品や、下田悠太那須佐和子の共同制作による、工学と絵画的直感を融合させた空間インスタレーションがある。他にも高橋穣のそびえ立つ機械構造物は、人間的な力と大自然の力の両方を感じさせる。

エクスパンデッド部門は、記念碑的なものと儚いものを包含している。これらの作品は、周囲の環境から力を得て、そのコンテクストの中で生きている。スケール、時間、空間的な実験を大胆に取り入れることで、北加賀屋が大阪のクリエイティブな地形における重要なノードとして台頭していることを強調している。

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