最初の部屋「モンキー・アイランド」では、 1982年から1983年にかけて制作された作品のインスタレーションとパフォーマンス作品が展示されている。彼の作品は、遊び心と挑発的な矛盾に満ちている。かつて愛されていた、今は汚れ、捨てられ、使い古されたぬいぐるみ、哀れでグロテスクなオーラを放つアート作品、木製のキャンバスに何百もの偽物の宝石やボタンを貼り付けたコラージュ作品…。このインスタレーションは、もう一つの部屋へと広がっていく。「ダブル・コンター・ウィズ・サイドバー」（2000年）は、彼のアトリエから出た端切れで作られた。これらを取り囲むように、壁一面にはケリーが90年代半ばにミシガン州の労働者階級の郊外で撮影したモノクロ写真が数点展示されている。

Mike Kelley, Double Contour with Side Bars (détail), 2000

もう一つの部屋は、「デイ・イズ・ダン」（2006年）という3時間のパフォーマンス映像で埋め尽くされている。この映像に登場する同じセットのすぐ横で、テレビモニターで放映されているのだが、まるでミュージカル劇場とゲザムトクンストワーク（総合芸術作品）の中間に位置するメタ・インスタレーションのようだ。架空と現実世界を組み合わせ再構成した作品となっており、壁面は写真のコラージュで埋め尽くされ、アートフィルムがループ再生される。

Mike Kelley, Extracurricular Activity Projective Reconstruction #27 (Gospel Rocket) (détail), 2004-2005

このケリーの大規模な回顧展は、彼の作品の多くが一堂に展示される初めての機会であり、分野間の境界を曖昧にし、伝統的なカテゴリーに収まることを拒む、彼の多種多様なマルチモーダルな芸術メディアを紹介するものである。しかし同時に、ケリーのダークなユーモアのセンス、カウンターカルチャーと若者の反抗を称えることへのコミットメントを理解することもできる。

Mike Kelley: Ghost and Spirit
会期：2023年10月13日（金）〜2024年2月19日（月）
時間：11:00〜19:00（火曜日休館）
会場：Bourse de Commerce, Pinault Collection
住所：2 rue de Viarmes, 75001 Paris
TEL：+33 (0)1 5504 6060
https://www.pinaultcollection.com