フランシス・ベーコン「本と絵画」展
HAPPENINGText: Ilaria Peretti
本展示は、「ベーコン・アン・トート・レトレ」(本と絵画)という名の通り、ベーコンと彼の作品のもとになった文学との関係を描く構成になっている。中でもベーコンが影響を受けた6人の作家がいる — アイスキュロス、ニーチェ、トマス・スターンズ・エリオット、ジョゼフ・コンラッド、ジョルジュ・バタイユ、ミシェル・レリスだ。ベーコンは、彼らの現実主義かつ道徳的な世界観や、理想主義から解放されたアートの考えに共感した。展示作品は、そんな6人との対話になるようなかたちで選ばれた。彼らの文学は、ベーコンの悲観的かつ幻滅した世界に対する考えや、その動きに影響を与えた。たとえば、アイスキュロスの「オレステイア」はトリプティクに影響を与え、「フューリー(復讐の三女神)」は、ベーコンの友人ジョージ・ダイアーの死に対する罪悪感を語ったものになった。
View of the exhibition Francis Bacon, Study for a bullfight n° 2, 1969
展示会場では、明るく照らされたスペースと、小さめの薄暗い部屋が交互にあり、来場者は、ベーコンの書斎から本の抜粋を聞くことができる。この仕組みによって、解説不足を防ぎ、馴染みのない来場者でも、ベーコンの作品がどの文学によって影響を受けたかが、分かるようになっている。さらに、キュレーター本人が作成したポッドキャストシリーズもあり、無料でダウンロードすることも可能なため、この展示の意図や内容そのものの理解も深めることができる。
本展示は、文学がいかにベーコンの作品に強い影響をもたらしたかが分かるものとなっている。また、美術館での展覧会で本を置くこととはという問いも立たせてくれる。是非一度は訪れて欲しい。
Bacon en toutes lettres
会期: 2019年9月11日(水)〜2020年1月20日(月)
開館時間: 11:00〜22:00(入場は21:00まで)
休館日: 火曜日
会場: Centre Pompidou, Paris
住所: Place Georges Pompidou
https://www.centrepompidou.fr
Text: Ilaria Peretti
Translation: Ayumi Sugawara
Photos: Ilaria Peretti