本多沙映
PEOPLEText: Miwa Yokoyama
Untitled, 2016 © Sae Honda
アムステルダム市立美術館に収蔵された作品について教えてください。
卒業制作展で出していたジュエリー3点なのですが、古代から近代にかけての世界中の装飾品のデザインをシンプルにデフォルメしたもので、卒業制作展の作品が美術館のキュレーターの目に留まり、コレクションとして収蔵されています。
アムステルダムに住むことになったのはいつですか?
5年前で、ヘリット・リートフェルト・アカデミーに行きたくて来たのですが、住みやすいし、ヨーロッパの他の国にも行きやすい。デザインシーンも活発で、ヨーロッパのニューヨークとも言われるくらい移民が多く、様々な文化がミックスされているのが面白いです。
7月からは有名なデザインアカデミーがありアーティストも多く住むオランダの南の都市、アイントホーフェンに引っ越す予定でいます。
作品集「EVERYBODY NEEDS A ROCK」表紙
作品集「EVERYBODY NEEDS A ROCK」が「torch press」(トーチ・プレス)から発売されたそうですが、その内容について教えてください。
二部構成になっています。最初の方が、石のコレクション – 22個の石(写真)と鑑別書(テキスト)で、後半がプロジェクト全体に関するエッセイが英語と日本語で収録されています。
書籍のデザインは、同じアカデミーの出身でイルマ・ボームというオランダの著名なグラフィックデザイナーの元で働いていたこともある、アムステルダム在住の日本人グラフィックデザイナー・若林亜希子さんで、表紙が二種類あり、面裏でこのプロジェクトのプロセスのビフォーとアフターを表現することがコンセプトになっています。
SHIRO USAGI – EVERYBODY NEEDS A ROCK, 2016 © Sae Honda
作品集の中で特に思い出深い作品はありますか?
「しろうさぎ」です。初期の作品で、アムステルダムの北の方にあるビーチで採集したもので制作したものです。
Future Primitive, 2017 © Sae Honda
今後の予定などを教えてください。
ジュエリーを作る時は1点物多いのですが、一般の多くの人に楽しんでもらえるようなものも発表してみたいと思っています。一度友人のために制作することがあったのですが面白かったので、オーダーメイドにも興味があります。
また、オランダのフリーランドでで8月末に開催される、イントゥ・ザ・グレイト・ワイド・オープンというイベントに、アーティスト・イン・レジデンスで招待されていて、そのフェスで落ちているゴミを拾って石を制作する予定です。
最後にこの記事を読んでいる読者にメッセージをお願いします。
現代の環境問題に言及するようなプロジェクトですが、この作品を通して直接的なリサイクルを目的とするというよりも、そのプロセスを通して、日常の見過ごされてしまっているものに価値を見出すワクワク感が伝われば嬉しいなと思っています。
本多沙映『EVERYBODY NEEDS A ROCK』
デザイン:若林亜希子
仕様:A6判変型/中綴じ2 部構成/156P(92P+64P)
言語:日本語/英語
定価: 2,600円+税
500部限定
ISBN978-4-907562-13-7 C0071
https://www.torchpress.net
Text: Miwa Yokoyama
Photos: Courtesy of the artist, © Sae Honda
