アウターサイド2

HAPPENINGText: Yoshiko Kurata

一昨年12月に開催した展覧会「アウターサイド」が新たなメンバーを引き連れて昨年12月にカームアンドパンクギャラリーへ帰ってきた。水野健一郎、早川モトヒロ、牛木匡憲ともに互いに信頼関係があることを前提に、水野健一郎の胸の内だけで考えていた 高木真希人 の参加は展覧会を決定するギリギリまで2人に伝えられることはなかったという。早川モトヒロの発案で始まった一昨年からの展覧会ではあったが、それぞれが新しいアイディアを付け加えながら変化していっている。次回の展覧会もどのようなことが起きるのか楽しみにしながら、それぞれ作家に本展「アウターサイド2」について話を伺った。

水野健一郎 早川モトヒロ 牛木匡憲 高木真希人(オル太) Makito Takagi

前回のDMではみなさんの様々な“怪人”“超人”のシルエットが描かれていましたが、今回は厳選の4体をビジュアルとして打ち出しましたよね。水野さんの作品では「human type」(ヒューマン・タイプ)という作品名の通り、人間のようなシェープをした生命体が会場にも並びました。DMに選んだピンクの生命体はどんなイメージ・ストーリーを思い浮かべながら描きましたか?

水野:アウターサイド2のステイトメントで『人型であることとそのバリエーションの追求。人間なのか宇宙人なのかロボットなのかといったSF的整合性を取っ払い、ただただその造形に傾注してみる。そこから滲み出る無意識のコンプレックスには僕の美意識が集約されている。』と記述したように、今回はあえてストーリーや設定を一切意識しないで制作しました。ところが、展覧会中にうっかりそのキャラクターについて考えてしまったため、 僕のナラティヴ作品「不気味の谷のアンドロン」に登場する人造人間アンドロンの蛹体という設定になりました。身長は3メートル近くあり、ドロン博士の娘アンの意識を取り込んだまま成長します。

水野健一郎 Kenichiro Mizuno

シンプルな表現で描かれた「未来少年B」と「BOGUE」(ボーグ)には、どのようなコンセプトを持っていますか?

水野:「未来少年」シリーズと「BOGUE」シリーズは、同じコンセプトです。テレビアニメを制作する上での設定資料集は鉛筆で描かれたキャラクターをコピーしたもので、その荒れた黒い線の魅力を意識させることも目的のひとつです。ネットですぐ画像を見ることができる今の世の中において、実物を見ないと大きさがわからないものにしたいという思いも込められています。名前は“VOGUE”と“防具”と“バグ”をかけたもので、BOGUEシリーズのキャラクターは身を守るためのヘルメットやプロテクターを装着しています。

水野健一郎 Kenichiro Mizuno

今までの自身の作品のコンセプトを引き継ぎながらも、描かれた新作。前回様々なマテリアルを使用しキャンバス以外の作品も展示していたが、今回も同様に水野健一郎は、展覧会ロゴを活かした映像をテープで描いたキャラクターに投影していた。

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