アウターサイド2

HAPPENINGText: Yoshiko Kurata

会場に入ってすぐの場所に展示を行っていた高木真希人を本展に招き入れた思惑はなんだったのだろうか?

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高木さんと出会ったのはいつ頃でしょうか?

水野:作品は数年前(2010年くらいかな)から見てましたが、実際に会ったのは2年前です。僕も使い捨てカメラでフラッシュ撮影した感じの絵を描いたりしていたこともあり、最初目にした時は悔しい思いをした記憶があります。さらに、僕の世代で絵を描いてる人は少なからずアメリカ西海岸の現代美術の影響を受けているのですが、高木くんも何故かその匂いがしました。

高木真希人 Makito Takagi

今回の展示に高木さんを迎え入れた理由を教えてください。

水野:アウターサイドは、怪人を描いてるイラストレーターのグループ展だと思われがちなんですが、そうではなく、“怪人”はあくまで媒体にすぎず、絵に惹き付けるためのおとりです。表現したいことは別の次元にあり、そのための手段なのです。その部分をもっと明確にしたくて高木くんに加わってもらいました。ちなみに“超人”という言い方は嫌いじゃないです。これも世代が関連してるのかもしれません。

前回の展覧会のアイデンティティを引き継ぎながら、新しいメンバーを入れることで更に本展のコンセプトが強調された。高木真希人独特のフラッシュ表現はいつ頃から始まったのだろうか。

高木真希人 Makito Takagi

水野さんのおっしゃる通り、高木さんの作品では光に対しての表現を強く感じます。自分にとって強く影響してきたもの、そこからフラッシュの表現を始めたきっかけを教えてください。

高木:私は1990年代の終わり、日本でのポケモンやデジモンなどの、生物的な形をしたキャラクターのブームの中で子供時代を過ごしました。子供の頃から絵を描くことが好きで、そのようなキャラクターを題材にするうちに、いつしか自分でキャラクターを創造して描く遊びをしていた方は少なくないと思います。私もその一人であり、その様な体験は、現在のキャラクター表現の土台になっています。ひねくれ者なので、生物的なキャラクターの裏をかく様な造形を好んで描いて来ました。
それと同時に、UFOや宇宙人、ネッシー、イエティ、妖怪などのオカルティックな未確認生物たちにも古くから慣れ親しんできました。私のペインティングは、彼らを捉えたフェイクなのか本物なのかわからない写真群が持つ、虚構と現実の絶妙なせめぎ合いのリアリティから、明確に影響を受けています。そのようなリアリティを表現するために、様々なタッチのペインティングを試しました。B級モンスター映画のポスターの様なタッチなどもありましたが、試した中で一番しっくりきたのがストロボ撮影の、全光のフラッシュを用いて描いたペインティングでした。 フラッシュの持つ一瞬を「捉える」という感覚が、目指していたリアリティへの足掛かりになると感じたからです。

フラッシュ写真に見えるような表現以外にも、以前から様々なタッチや表現方法を研究してきたそうですね。

高木:アジアのペンキ絵のような映画のポスターや、海外のお菓子の包装の色使い等は、すごく欲望に忠実というか、個人的にですが、色の組み合わせだけでシズル感を感じる物が多いので、とても参考になります。光の描き方というか、タッチを参考にするためにも、その様なポスターを眺めます。また、影の落ち方がかなり複雑になると予想される形の場合は、実際に簡単なオブジェをストロボ撮影したり、写真で影の広がり方を観察することもあります。

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