モバイル・トーク 2016 #1 大阪
HAPPENINGText: Ryo Takahashi
Keith Lam at “Mobile Talk 2016 #1 OSAKA” FLAG studio, 大阪, Photo: Gottingham
三人目は、香港や台北をメインに活動し、日本では「第17回 文化庁メディア芸術祭」の受賞歴も持つメディアアーティスト、キース・ラム。彼の過去の作品で取り扱うテーマのひとつに、香港が抱える土地問題がある。香港は、狭い土地に多くの人が集まる都市であるため、一人一人が使える「スペース」に限りがあり、そこに注目した作品制作をメインに活動している。
Keith Lam’s work exhibited in Mobile Talk, Photo: Gottingham
Keith Lam’s “Signal Morphor: The Orchestra” performance, Sense LIVE! at Hong Kong Academy of Performing Arts, Hong Kong, 2011
その傍ら、アーティストとしての活動に留まらず、ギャラリースペースやコワーキングスペースを兼ね備えたスペースを自ら運営。多くの人々に利用してもらえるスペースを設けることによって、個が集団へと変容し、彼自身がテーマにしている「スペース」に対するひとつのコミットの仕方となっている。
Ou Ning at “Mobile Talk 2016 #1 OSAKA” FLAG studio, 大阪, Photo: Gottingham
最後にプレゼンテーションしたのは、中国で数々の大規模なデザイン・建築展を手がけたキュレーターのオウ・ニン。これまでに、ヴェネツィア・ビエンナーレの中国館のキュレーションや、ロンドンの立ち入り禁止の建物を使ったサウンドアートの展示、さらには中国国内の各都市を巡回した展覧会の企画運営など、国内外で活躍するキュレーターである。
Ou Ning’s work exhibited in Mobile Talk, Photo: Gottingham
“Get It Louder” (2010) Curated by Ou Ning
彼個人はキュレーターであるため、何らかのイベントに携わるにあたって、多くのデザイナーやアーティストたちとコラボレーションすることで展覧会をキュレーションしている。これはまさに、個と集合体とがミックスすることによって生まれるクリエイションであると彼は考えている。
“Mobile Talk 2016 #1 Osaka”, FLAG studio, 大阪, Photo: Gottingham
昨今、アジアと日本との距離は、移動手段の向上、インターネットの普及などにより、より密接な関係となっている。クリエイティブな仕事をする人々にもグローバル化の波は押し寄せており、いま日本にある仕事がアジアのクリエイターによって奪われる、またはその逆の現象がいつでもおこりえる状況がある。そのような状況下において、アジア各国で個々に、ならびに集団で活躍するクリエイターたちが大阪に集まった本イベントでの出会いは、アジアのクリエイティブを知ることができる機会でもあり、同じ土俵の上で切磋琢磨するライバルとの出会いでもあるのではないだろうか。
FLAG studio, 大阪, Photo: Gottingham, Installation work: Studio Spass, Rotterdam
第一回の開催地である大阪は、LCCのハブと化しつつある関西国際空港があることに加え、東京などと比べて物理的にもアジアに近い。今回のイベントでも出会いをきっかけに、アジアに飛び出していくクリエイターが増えることを多いに期待したい。
Mobile Talk 2016 #1 OSAKA
日時:2016年7月30日(土)15:00〜18:00
会場:FLAG studio
住所:大阪市西区江之子島2-1-37 阿波座ライズタワーズフラッグ46 1階
登壇者:ナ・キム(韓国/グラフィックデザイナー)、オウ・ニン(中国/キュレーター)、キース・ラム(香港/ニューメディア・アーティスト、メイカースペース「LAB」主宰)、ヤン・ヨウ(中国/独立系写真出版社「Jiazazhi Press」主宰)
進行:後藤哲也(OOO Projects)※逐次通訳有
主催:DECOBOCO
企画・運営:OOO Projects、Milkxhake
https://www.enokojima.info
Text: Ryo Takahashi
Photos: Gottingham
