米谷 健+ジュリア
PEOPLEText: Rafael de Lima
作品から、古典的な「美」や「エレガントさ」のような美的な心地よさを感じました。そして興味深いことに、それらの作品は、形式ばった感覚とは全く違った柔らかい社会政治的な批判のようなメッセ―ジを見る者に伝えてくれます。日本の風流のようなものもそこには表現されているのですか?
本来「風流」はもしかすると「美」「エレガントさ」とはまた違った意味を持っていたかもしれないし、またはその時代のトレンドとして漢字のそのままの意味だったかもしれません。作品には、美しさや社会政治の問題、生態学的批判などの意味も含まれていますが、作品は常に見る人にとって想像しやすく、理解し易いものであることを意識しています。
Sweet Barrier Reef (2009)
日本というのは、とても複雑な近代化への批判や多重な時間と文化および意味を内包していて、そのことは現代の物質主義に完全には取り込まれない審美眼を持たせているのでしょう。それと同時に日本の一歩内側と、オーストラリアのような日本の外側の両方に立つことは、日本の集団主義的な極端な部分を問いただせる立場を与えてくれるのです。
Grape Chandelier (2011)
それぞれの作品には、ウランや塩のような使用されている素材の種類によって、それらが有する形、テーマ性、社会的な影響などから、作品を通して表現したい論題や美学が反映されています。(ウランの場合はより明確ですが、塩を使ったものにも、作品のコンテキストにおける社会的な批評は明らかに表れています。)作品は自然とつながっていて、そこには全ての自然物に神が宿るとされる神道に通じるようにも感じます。しかし同時に多くの科学的な要素も作品の形成に関わっています。こういった解釈についてどのようにお考えですか?
素材に関しては確かに、私たちがどんなものを形作るかということより、素材がいつも先にきます。アーティストはある種のシャーマンみたいなものだと思います。素材に宿る精霊を通して制作したものが最良の作品なのかもしれません。
Crystal Palace: The Great Exhibition of the Works of Industy of All Nuclear Nations (2012)
シンガポール・ビエンナーレではいかがでしたか?その会場で、作品はどのように受け入れられましたか?
シンガポールでは、とても素晴らしい経験をしました。正直なところベルリンからみると、世界の文化の中心はもはやヨーロッパには何のではないかと感じました。シンガポール・ビエンナーレは、とても興味深い方法で複雑さと多様性の領域をまるごと組み込んでいます。私たちの作品は多くの作品のトップリストに入れてもらうなど非常によく受け入れられ、作品が表現したテーマや素材について大きな注目を集めました。
Ken & Julia Yonetani: The Last Supper
会期:2014年3月22日(土)~5月18日(日)
時間:10:00~17:00
会場:Hazelhurst Regional Art Centre
住所:782 Kingsway, Gymea NSW
TEL:+61 (0)2 8536 5731
https://www.sutherlandshire.nsw.gov.au
Text: Rafael de Lima
Translation: Satsuki Miyanishi
Photos: Courtesy of the artist © Ken + Julia Yonetani