アブソルート・アート・アワード 2013
HAPPENINGText: Victor Moreno
論文部門の受賞者は、ビジュアル文化の博士号を取得し、ニューヨークのパーソンズ・ザ・ニュー・スクール・フォー・デザインの教授を務める、キューバ系アメリカ人ココ・フスコだ。フスコは女性と社会、戦争、政治と人種の関係を専門としている。アーティストとしては、電子メディア、投写やインターネット状にストリーミングされるライブパフォーマンスを組み合わせた大型のインスタレーションを制作している。
『私のプロジェクトはキューバにおけるパフォーミングアートを扱っているわ。それは、アートを一種の触媒として用いることによる革命的振る舞いとはなにか、またそのコンセプトをどの様に変えるかという政治的問題に取り組むためのパフォーマティブな戦略をアーティストと活動家が展開する方法なの。例えばハバナのマレコン地区は、長きに渡りゲイや社会的・性的階級を廃した活動のための公衆ナイトクラブだった「ホテル・ナシオナル」に面している。このことはある点では市民の国との身体を使った戦いを象徴しているわ。』

Coco Fusco
権力を握るカストロの生死が危ぶまれる中、政治的な変化に晒されるキューバの現在の独特な情勢についてはどのように思うか?ココ・フスコに質問してみた。『私たちは過渡期にある。でも終わりは来る。革命の終わりは2018年、ラウル・カストロが権力の座から降りる事を約束したから。それは革命が始まってから実に59年のことになるわ。封鎖解除へのアメリカの要求がカストロを権力から退かせることになる。いったん退けば、政治システムはそれが何であるか不明瞭な段階へと進むでしょう。』
アメリカが指導的な地位を引き継ぐのでは?という問いにはこう答えてくれた。
『ある人たちはそう考えているけど、私は本当にわからない。私が知っているのは、今あるものが長続きしないという事だけ。多くのキューバ人はただ生きて、出て行きたいだけ。でもそれは網の目をくぐる様なもので生きることはとても困難。一方で、ここに留まって改革を成し遂げたい若い大人たちもいる。彼らは、共に育ってきたものの終焉を見届け、良く感じられるなにかへの変遷を見たいと思っている。キューバには国立機関を通して仕事をする作家が沢山いて、一部の人は上手く行っているけれど、多くのアーティストはシステムとの合意に至っていない。また彼らは自身を教養家、著作家、アーティスト、音楽家とみなしていて、独立して働きたいと考えているわ。この考えは広まってきているし、デジタル技術によって国の干渉なしに仕事をすることができるようになった。国民投票への約束は無いの。再選挙のために、ある活動家たちは拘束力のある国民投票を求めているけれど、そんな保証は無いわ。わからないのよ。』
『束の間の要素、私は「ヒットエンドラン」の美学を語っているの。多くの権威主義体制の社会においては、束の間の迅速な同時代性がものごとを可能にするの。もし固定的な目的を作って留まるのであれば、より支配を受けやすいでしょうね。継続的影響力は誰かが認定しなくてはならないでしょう。もしなにかをするのであれば、プロポーザルの中で話したのだけど、例えば、アーティストのエンジェル・デルガドのパフォーマンスがあるわ。90年代に、彼はあるギャラリーに入ってキューバの共産党系日刊新聞であるグランマを床に貼って、その上にステートメントとして排便したの。その結果、彼は逮捕され、6ヶ月を監獄で過ごした。そうね、パフォーマンス中に当局はデルガドを取り押さえにこれなかったわ。その一瞬は終わってしまったから、そうでしょう?それは終わったの。このアクションの多くはおこって、そして過ぎて行く。当局が幾つかの事例に踏み込むまでにそれらは消えてしまうの。』
『アートプロジェクトのうちの多くのものにおいて、私はライブアクションと電気伝達との間の相互連結、異なる技術がライブアクションの媒体となる方法にフォーカスしているわ。とりわけテレビ・インターネット・ライブを通じて、会話とか、ライブのコンセプトとそのような経験がテクノロジーによってどのように拡張されるのかを見るみたいなことができる。』
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