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SF(サイエンス・フィクション)とアート展「宇宙こそ活動すべき場所である」

HAPPENINGText: Mike Sullivan

次の部屋は有名で人気のあるSF映画「スター・トレック」に登場する衣装や小道具を揃えたコレクションとなっている。ソレン・ヒュッテルによる「ティル・サムリン」はまるで古代文明における人工物のような印象を与えるコレクションだ。マネキンの着ている衣類は一つの文化に根付く伝統衣装のようであり、その他の小道具はそれらの紹介文とともにガラスケースに展示されている。これらのアイテムは「スター・トレック」ファンやSFにまつわる記念品の収集家にとってはとても魅力的であり、しかし同時に単なるTVファンには無価値同然なのだ。
この部屋のもう一つの展示はアラン・キュラルによる「ジェットサム」という作品で、これは彼自身をイングランドの浜へ打ち寄せられたエイリアンとして描いた絵画作品である。

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“To the collection”, Søren Hüttel

ルーム4はジェスパー・ダルガードトリン・ボーセンによるアート。ジェスパー・ダルガードの作品は未来の宇宙の概観を示したもので、あたかも有害かのように認められたものに対する新たな知覚を鑑賞者に与えようとするものだ。ボーセンにのインスタレーションは上下左右に360°展開された宇宙のイメージで、我々が慣れ親しんだ印象とそれに対照をなす印象を同時に掻き立てる。

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“Wired (Tesla)”, Ivan Andersen

イワン・アンデルセンの作品が見られるのはルーム5だ。アンデルセンはニコラ・テスラとハワード・フィリップス・ラヴクラフトに影響を受けた。彼らはマッド・サイエンティスト的な気質と陰鬱な哲学への信仰から権力を得たため、ほとんど神話のようになっている。「テスラ」と呼ばれる作品は「マトリックス」を連想させぬばかりで、その不思議な世界観に対比する謎めいた仮想のキャラクターにふさわしい。


“Mass Attraction”, Ivan Andersen

もう一つの作品は「スター・ウォーズ」に関連した、相反する2つの次元に面を持つ湾曲した立体空間である「マス・アトラクション」だ。見た目が非常に面白く、「スター・ウォーズ」とこの空間そしてアートの繋がりを考えるのもまた楽しい。カールセンによるインスタレーションは、がらんとした火星の風景とロシア映画「アエリータ」に登場するクイーン・オブ・マーズを平面に投影したものだ。この映画は1924年に制作された火星に行って反逆を指揮する男の物語であり、つまりカールセンは人類がいかなる発想と洞察力でもってがらんどうの火星を彩るかを示しているのだ。これは極めて挑発的なアイディアで、様々な惑星やその他の宇宙にまつわる事象を表現した多くのインスタレーションが揃ったこの展覧会にぴったりと言えるだろう。

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“Strange Attractor At The End Of Time”, Jonas Pihl

最後の部屋はルイス・シュパラーによる吊り下げられた彫像と壁に据え付けられた物体が目を引く。それらは宇宙の影を形作り星屑の層に覆われている。美しさの中にも未知の不気味さがあり、脅かすような気配さえ感じられる。最後のアーティストであるジョナス・ピールはインスタレーションを制作しており、見る者を当惑させるほどに巨大なペインティング作品「ストレンジ・アトラクター(アット・ジ・エンド・オブ・タイム)」には認識できるイメージとそうでないものが混在している。夢と科学が混じり合い印象的で表情豊かな形と色を描き上げた姿はまさに混沌そのものだ。

この展覧会は非常に優れたアプローチであり、インスタレーションはただテーマに沿っているという以上に質の高いものが揃っている。「スター・トレック」の小道具が文化的な人工物として扱われていたり、沢山の惑星が宇宙の様相とともに描き出されていたりするのを見るのは素晴らしい体験だ。SFというジャンルに属する各テーマをアートと密接に結びつけて考えることのできる展覧会がデン・フリーの夏を飾った。

Space is the Place
会期:2013年6月29日(土)〜8月4日(日)
時間:12:00〜17:00(火曜日21:00まで)
休館日:月曜日
会場:Den Frie Centre of Contemporary Art
住所:Oslo Plads 1, DK-2100 Copenhagen
TEL: +45 33 12 28 03
info@denfrie.dk
https://en.denfrie.dk

Text: Mike Sullivan
Translation: Ayami Ueda
Photos: Courtesy of Den Frie Centre of Contemporary Art

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