戸塚憲太郎

PEOPLEText: Yu Miyakoshi

確かに日本では、アートを買うという習慣は一般的ではないですね。

僕は、“入門編” から順に始めて行こうと思っています。今年で3年目になる「LUMINE meets ART」(ルミネミーツアート)という企画があるのですが、これは「LUMINE」(ファッションビル)の館内を展示の場にしています。ルミネは駅の上なのでこれ以上ない最高の立地で、会期中には万単位の人に見てもらえますし、お客さまにはギャラリーまで行かなくても、気軽に見て貰えます。「LUMINE meets ART」はLUMINEのブランディングの一環として展示が成立しますし、アーティストにも制作費を支払うことができます。皆にメリットがあるので続いている企画だと思います。

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青参道アートフェアで賑わう参加店舗

「青参道アートフェア」は店舗スペースを展示空間として展開し、期間中にワークショップやパーティを開催しています。色んなイベントを取り入れることで、「アートは楽しい」ということをもっと一般の方に分かってもらいたいのです。かといってファッションのように、どんどん買われて、どんどん消費されていけば良いと思っているわけではありません。アートが簡単に理解されると思っている訳ではないのです。やっぱりアートは難しいところもあります。それなりに勉強しないとわからないし、積極的に関わろうとしないとアクセスできるものでもない。ただ、難しいと思われがちなアートも、楽しいと感じてもらえれば、そこが入口になるはずです。敷居を下げなければ、入ってくるものも入って来ないし、そこからのビジネスだと思っています。

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2012年3月にニューヨークで開催されたNEW CITY ART FAIRレセプションパーティーの様子

今年は台北で初めて「NEW CITY ART FAIR Taipei」を開催されますね。

NEW CITY ART FAIR」は、日本の作家を海外のアートファンに販売するというのがコンセプトのアートフェアです。日本に市場をつくろう、というのが大きな命題がある訳ですが、時間もかかることですし海外の市場にも平行して自分たちのアートを売りに行くための場をつくって行こう、と。一番最初はニューヨークで開催したのですが、ニューヨークならアッシュ・ペー・フランスのギャラリーもあり、アートフェアの会場としては狭いけれど、10件ぐらいならなんとかなる。そこで現地の人たちに「日本にもこんなに面白いものがあるんですよ、日本のアートを見ませんか」ということで始めました。

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青参道アートフェアのメインイメージに起用されたRichの作品。NEW CITY ART FAIR Taipeiでも紹介される。

台北での開催は、ニューヨークで始めた時から考えていました。台北にはアートマーケットがあり、現地のアートフェア出展を通じて繋がりもできつつあったので、「ART TAIPEI」(アジアで一番歴史のある台北を代表するアートフェア)に合わせて開催したいと思っていたのです。会社としても日本のファッションやライフスタイルを東アジアから世界に発信していこうという動きがあったので、ファッションとアートの境無く日本のライフスタイルを台北に持って行こう、ということになったのが「roomsLINK TAIPEI」で、「NEW CITY ART FAIR Taipei」はその中のアートエリアとして開催します。

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